第14話 魔法を教えているのを見ているんですが。
「あ!私はリリス・ヴィーラっていいます!」
「私はルーン・ネイヴなのです。」
「で?ティラはどうする?」
「私はかまいませんけど…。」
「「やったー!」」
エルフの二人、すんごい喜んでるな。
でも、別に訓練所で学べばいいんじゃないのか?
「でもなんでティラに頼んだんだ?ここで教えてもらえるんじゃないのか?」
「実は、そもそも風の魔法はエルフに出やすい魔法なのです。そのため、風の魔法を得意とする人かエルフに教わるのが一番なのです。」
「一応聞きたいのだけど、エルフに頼んだりはしなかったのかしら?」
そりゃそうだよな。
若いだろうけど今までに教わる時間はあったと思うが。
「その、私たちは先祖返りでして…。」
「先祖返り?というと両親はエルフではないのか?」
「そうなのです。教わろうとエルフの国に行こうにも、今は組合証がないと入れないのです。」
エルフの国もあるのか。
ぜひ行ってみたいなあ。
それと先祖返りでエルフの個性がでるんだな。
「…わかったわ。でも空いた時間だけだよ?」
「「お願いします!」」
「今日はもう暇だよね。さっそくやってみる?」
「「はい!」」
やる気マンマンだな。
元気があってみてるこっちも元気になる。
「ユウたちはどうする?」
まあ元々部屋に戻って休むつもりだったからな。
暇と言えば暇なんだよな。
この二人を見ていてもいいかもな。
「せっかくだし、見ているよ。」
さて。ティラはどうやって教えるのかな?
「まず二人は、ほかに魔法は使えるのかしら?」
「私たちは風の魔法と回復魔法しか使えません!」
「じゃあ、風の魔法で他に何が使える?」
「ウィンドカッター、ウィンドシールドの2つしか使えないのです。」
「ちなみにだけどどうやって覚えたのかしら?」
「ルーンの家に風の魔法の書物があったのでそれで覚えました!」
書物か。
こっちの世界だと型があってその魔法を使う。
そうなると数は限られてしまうんじゃないのか?
といっても書物があるってことは研究もされているんだろうなあ。
俺も見たいな。
「じゃあまず問題を出すわ。」
「「はい!」」
「どうやったら魔法を強くできると思う?」
「えっと…。」
それを知りたくて聞きに来たんじゃないのか?
「聞くのもいいかもしれないけどまずは考えてみないといけないわ。教えてもらってばかりだといつまでたっても教えてもらってばかりになっちゃう。だから自分で考えることは大切よ。」
自分で考えたほうが成長幅は広いかもな。
でもまだ二人は若い。
ある程度基礎は教えてあげたほうがいいんじゃないのか?
まあ口は出さないでおくけど。
「えっと…魔法をたくさん使うのです?」
「戦闘の数をこなす?」
それ違う言い方だけどほとんど同じだぞ。
「正解。魔法を使う数を増やせばだんだん発動が早くなるわ。」
「じゃあ威力を上げるにはどうしたらいいと思う?」
「…数をこなす?」
同じじゃないか!
「使う魔力を増やすのです?」
「そうよ。魔力を増やせば増やすほどその魔法は大きくなる。だから威力はあがるわ。でも制御できなかったら自分にも影響を及ばすから注意が必要だわ。」
爆発の魔法で魔力を込めすぎて本人も爆発するっていうのもあったな。
実際にあったのではなく理論上、だけどな。
「魔力をいつもより多く込めれば強くなるのです?」
「そういうわけでもないわ。最後の問題。ウィンドカッターで貫通力を上げるとしたら?」
「……。」
黙っちゃったな。
これは難しいな。
「…!鋭さを上げる!」
「惜しいわ。でも正解には近いわ。」
「う~ん…。」
考え直している。
パっと思い浮かんだらまあ苦労はしないよな。
「もう出ないかしら?でもよく考えていたんじゃないかしら?」
「今まで書籍に載っていたのをただやっていただけなので頭いたいのです…。」
「私も…。」
「これからはまず考えてみること。それでも分からないときは聞いてね。」
「「はい!」」
「じゃあさっきの答え合わせね。答えは魔力を扱うのに慣れることよ。」
「鋭さを上げるとは全然違うような…?」
「そんなことはないわ。魔力を扱うのに慣れるのは魔法の操作を扱うのに慣れるために必要なことだわ。」
「???」
二人とも頭からハテナがでてるぞ。
「そうね。例を出すならさっきの土人形をしっかり斬り落とすなら斬る場所だけに魔法を当てるのが一番。二人は魔法は使えていても風があちこちに当たって肝心な斬る場所以外にもあちこちに散らばって当たっていたのよ。」
ティラのやつ、割と見ていたな。
存外講師に向いているんだろうな。
―※余談注意※―
はいまた設定が登場。
正直自分ですら頭が爆発しそうになります。




