第13話 意外なことが起きたんですが。
「申し遅れました。僕はデイル・C・フェイン。」
「僕はデイラ・C・フェイン。見た目通り双子です。」
名前は聞こえて覚えていたが改めて挨拶してくれた。
ならこちらも挨拶をしないと失礼だな。
「俺はユウ・ミグラトル。こっちはティラ、リン、ソーラにスウだ。でもいきなり謝罪なんてどうしてだ?」
「僕たちは一応貴族の息子です。」
「ですが実力主義です。位にすがらないようにしています。」
それでも貴族の息子だから周りの目を気にしてその身だしなみと発言なのか。
「貴族なのに位が下のやつに頭を下げるのはまずくないか?」
「…こんな貴族の位にすがるぐらいなら死んだほうがマシだ。」
貴族なのに貴族であることが嫌なのか?
たしかにあれこれ教えられると思うから嫌なのかもしれないけど。
それでもある程度の生活が保障されるもんだぞ。
「声を荒げてすみません。今、貴族では次の軍総隊長を選抜する競争をしています。」
「僕たちはその競争の駒なのです。」
「軍総隊長ってのは?」
「冒険者組合は他国と連盟して行っていますが、軍はその国だけでできた冒険者組合みたいなものです。」
「一番上から軍総隊長、軍総隊長補佐、それと五大魔法を象った五軍隊長があります。」
話だと冒険者組合は国から支援を受けている感じだったけどそれは他国とも一緒にほかの地の探索をするために争いをなくそうとしてできたものかもしれない。
それと違い、軍はその国だけを守る兵なのか。
「でもそれは貴族じゃなくてもいいんじゃないのか?自然と強いやつが一番上になるんじゃないのか?」
「いえ、貴族から選抜されます。小さいころから特殊な訓練を受けさせられているからです。」
「一般兵は平民もいますが、上層部は全員貴族です。」
「それって国として大丈夫か?下手したらそこそこの実力で軍総隊長になってしまうんじゃないのか?」
「それはないと思います。そもそも貴族は最初、武力があって貴族になったものが大半です。」
「ですので貴族は元々平民より強い傾向があります。」
もしかしたらこの双子、先祖の血が濃く出て実力主義者になったのかもな。
「そうか。だからあんなに強い魔法を使うわけか。」
「はい。ですが、ユウたちのほうが強いと思います。」
「氷魔法は人間離れしている人が使っているというイメージが強いので。」
なんじゃそりゃ。
たとえ神様とよばれていたけどれっきとした人間だぞ。
「すみません。僕たちはこれで。」
なんだかんだで、あの魔法でけっこう魔力を使ったんだろう。
見た感じでもそうとう疲れてそうだったし。
俺たちも戻ろう、そうしようとしたとき二人の人影が俺の前に出てきた。
またなのか…?
「今度はなんだ?」
「すみません!お話が合ってきました!」
この二人は風の魔法を使ってたエルフの子たちか。
「お願いします!魔法を教えてほしいのです!」
なるほどなるほど。魔法か。
たしかに教えるほどの実力があると自負している。
「お願いします!ティラさん!」
俺ではないのかい!
紛らわしいわ!
*
「報告いたします。今回の訓練所入学者の中に組合長様と同じ魔法を使う者がいるとの情報が来ました。」
机で書類を整理している男。
報告をしてもいつも書類のほうへ目をやっていて興味を示さない。
なのに話はしっかり聞いており、適切な指示を下す。
しかし、今回に限っては顔を上げた。
「ほう。俺と同じ魔法か。いつぶりだろうか。」
珍しく興味を示していた。
この男、組合長ジーク・ロスは笑っていた。
「そいつの実力はどれほどだ?」
「情報によると、ホシさんと同等、もしくはそれ以上だと。」
ジークはさらに笑うと。
「ハーハッハッハ!こいつはいいな!久しぶりだぞ!俺と同じ舞台に立てそうなやつは!」
普通は自分と同等の強さのやつがでたら警戒するものだ。
だがジークは違った。
笑い、喜び、そして期待していた。
そう、ジークは人類には珍しい戦闘狂でもある。
「そうだな。まずは情報が欲しい。ある程度情報を得たらすぐもってこい。訓練所にいる間は監視を怠るなよ。」
「はっ!それと軍へはどういたしましょうか?」
「…報告はまだしない。いけ。」
「失礼します。」
いつもつまらなそうにしているジーク。
そんなジークに幸福の時がやってきた。
―※余談注意※―
そういえばミドルネームがあるけど使ってないなあという理由で名前を決めてました。
日本だとそういうのないですよね。
増えてみるのもいいかもしれないですね。
まあ自分は苗字名前だけでも覚えるのに苦戦するぐらいですかね!




