第10話 訓練が始まったんですが。
夜になるとベルがなった。
これが夕飯の知らせなのかな?
俺たちは部屋を出た。
ほかの部屋からもちらほら移動し始めていた。
食堂は1階にあるらしい。
「おい、貴様。」
「早くそこをどけ。」
後ろに振り向くとそこにはスウと同じぐらいの大きさの二人の男の子がいた。
「道をふさいでいたか。ごめんな。」
「「ふんっ。」」
背丈も見た目も瓜二つ。一人は右に、もう一人は左に髪を束ねていた。
おそらく双子だろう。
服は正装というのかきっちりしていた。
「なんか嫌な双子だねー。」
「ああ。」
俺たちはさっきの二人を見ていた。
なぜ十代前半ぐらいの子たちが。
冒険者は危険が伴うはずだ。
もう少し遅くてもいいと思うが。
それに服から見てもそれなりの地位にいるはずだ。
なぜ冒険者になろうとしてるのだろう。
「ユウくん。考えるのもいいけど今は食堂へ行きましょう。」
「ああ、そうだな。いこっか。」
食堂に着くと部屋番号が書かれた札がテーブルの上にあった。
何かホテルのレストランに来ているみたいだな。
自分の部屋番号が書かれていたところに座ったが食事はまだない。
周りを見てみると全員で21人いた。
その中にさっきの双子もいる。
ほとんどが十代後半から二十代前半の人たちばかりだけど。
「よし!みんな集まったようだな!」
俺たちが入ってきたドアのほうを見るとウィルさんとひとりの男が立っていた。
「まずは自己紹介だな。俺はホシ・スタンバル。今月の訓練講師だ。よろしくな!」
これまたでかい人だな。
おそらく2m超えているぞ。
これから食事をする、と思うけどホシさんは腰に剣をかけていた。
ここの食事ってそんなにバイオレンスなの?
「明日から訓練を開始するために今日は集まってもらった。主に訓練講師が自由に教えていいとなっているが最低ラインは教えないといけない。だから今後の方針を話そうと思う。まず、明日はそれぞれの得意魔法を教えてもらう。もちろん魔法自体苦手なものは他の剣術、武術などでも構わない。」
冒険者=魔法使いというわけではないとのことだった。
前の世界でも剣術と武術はあったものの重視まではされていなかった。
というより戦闘ではなく技を磨くことを目的としていた。
「それについては外で行うから朝食を食べ終わったら外に来てくれ。ちなみに講義室は基本使うことはない。戦闘経験を積んでもらおうと思う。それに伴って試験も少し変えてあるから安心してくれ。」
周りは少しざわつき始めた。
となるといつもとは違う形式なのかな。
特殊な形式、もしくははずれの月とかあるのかもしれないな。
「なにせ俺は小難しいことを教えるのは苦手なんでな!ハハッ!」
おいおい。そんなのでいいのかよ…。
不安になってきたな。
「俺からは以上だ。じゃあゆっくり飯でも食べて行ってくれ。」
そう言うとドアから出て行った。
周りの声はさらに大きくなっていった。
でもよかった。
バイオレンス夕飯でなくて。
「どっちにしろ、合格すればいいだけだ。デイル。」
「そうだな。デイラ。」
さっきの双子も何か話していたようだ。
それに比べこっちは能天気というかなんというか。
初めてで何も知らないというものの緊張感がない。
スウに至ってはまた寝かけている。
各テーブルに食事が運ばれ、何も起きず食べ終わると各々解散という感じで部屋に戻っていった。
翌朝。
ベルが鳴ると準備をし、食堂へ向かった。
食堂に着いたときは人が少なかった。
俺たち全員用意が終わってから来たからそれなりに時間がかかった。
そのせいか着くときは最後だった。
昨晩とは違い部屋番号が書かれた札はなく、テーブルは自由に座ってもよかった。
「おはようございます。こちらが朝食となります。」
食事はパンと野菜という一般的な朝食だった。
ちょっとしたお肉も欲しいけど贅沢言ってられないな。
食事を終えると外へ向かった。
「君たちで最後だ。向こうへ集まってくれ。」
外へ出るや否やホシさんがいて誘導された。
そこにはもうみんな集まっていた。
これは申し訳ないな。
「よし!まずは昨晩言った通りみんなの得意魔法、剣術、武術を見せてもらう。やり方は単純。俺が出す土人形に攻撃をしてくれ。まずは俺が手本を見せるからそのあとは順番にやってもらう。」
そういうとホシさんは何か魔法を唱え始めた。
「我が盾となれ!【スケープゴート】!」
地面から人形がでてきた。
おお!詠唱+魔法名だからこれは相当頑丈そうだな。
見た感じ土人形だろう。
っていうことは、ホシさんは土の魔法を使うのか。
「では行くぞ。」
剣をぬき、土人形に剣を構えた。
呼吸を整え、そして。
「【剣技-神通】。」
剣が見えなくなると同時に衝撃が走った。
土人形のほうをみると頭、左胸を貫いていた。
「これは突き、剣技だ。もちろんこういう剣に向いてない攻撃だから瞬発的に2発しか打てなかったがな。」
そう。たった一瞬で2発いれた。
冒険者はここまで強いのか。
「さて!手本も終わったことだし順番にやってもらうぞ!もちろん、結果次第で今後の指導などが変わるからな!」
もしかしてこの世界、思った以上に危険かもしれない。
―※余談注意※―
いつの間にか話数が二桁に!
それとやっと戦闘?部分が!
もっと書きたい!!!




