外へ!
前回の続きです。読んでね!
椿さんと一緒に、宿屋を出た。廃墟みたいに窓が割れた家々が連なっている。
外は最初に来た時と変わらず、人通りが少なく過疎化しているように見える。
椿さんは、何かをチェックしてるように見える。
「椿さん、このゲームって、プレイヤー全然いない感じ?」
確かここに来た直後人いっぱいいたよな....
「ここはな、この都市の中で最も人がいないところでな、少し行ったら、人いっぱいいると思うぞ」
「ここら辺が中心部じゃないんですか? だって塔がありますし。」
「この塔は全然使われていないよ。皆レベル上げばっかしてるから、外に近い所に住んでるよ。」
そうか、ミットシェルディガーに行ってもレベルの高い人とあたって、
負け。レベルリセットされて終わりなのか....レベルリセットどうなの?
って言いたいけどね。そういえば
「この装備たちどうしたらいいんですか?」
「それはだな、ステータスを開いて、装備から衣服で着れるぞ。」
そうなのか、ステータスを開いて、装備、白スーツから、
潜水服へ変更っと。名前はそのままなのか。あとショートメイスを装備。これもそのままだな。
「よし。行けそうだ。」
風の抵抗を最も受けないような、戦闘機のような、フォルムに変形して、後部が開きスラスターが表に出てきた。
「北の方向に飛ぶぞ。」
変形もするのか....凄すぎて、愕然とする。口がパッカーンだ。今までの、重量感が消え、スタイリッシュになってしまった。
「そんなじろじろ見るな。あと口空いてるぞ」
慌てて口を閉じる。びっくりしすぎだぞ、俺。
「いや、凄くて」
「機体にはだいぶカスタムしたからな。見とれるのも仕方ないぜ!」
だいぶん自信があるんだな。まあカッコいいのはカッコいいからな。
機体は空中で静止している。フォルムからじゃ、絶対にありえないが....空は青い、
ライトの影響かな? 普通なら黒いところだけど。ライトは一定間隔に設置されている。
きれいだ。でも、あんなに速そうなフォルムになられても。
「追いつく自信ないですよ。」
「大丈夫だよ。お前も速く飛べる。天使だから、飛んでる自分を考えろ。」
最初から速く飛べるのか? ゲームだから余裕で飛べるだろうけど....
イメージする、想像上での自分の滑稽さに思わず笑いがこみあげてくる。
何なんだあの顔はいくら飛ぶのに集中してても....顔、気を付けよう。
なんて思ってたら、飛べる。行ける、行けるけど少し制御が効きにくい。
「なんか飛ぶの難しいですよ」
「天使の事情は知らないが、最初の間だけだよ、きっと、いずれなれる。」
飛んでいたらそりゃなれるだろうけどさ....飛ぶ感覚ってこんな感じなんだな。
なんかバイクに乗る感覚に似てるな、
自分の思うがままじゃないけど、ある程度制御が効くとこも。。
「行けそうか?」
「はい!」
椿さんが飛ぶ。置いてけぼりにするつもりのように思えるほどの速さ。
置いてけぼり? そんな飛ばすの?! 目の前から消えた。
初心者相手にそんな飛ばすか。すごいな
「嘘だろ....まっ追いつくんだけど」
全力を出すが、全く疲れない。これも天使のHP回復のおかげか。はやい。
気持ちいい。風が、最高だ。この世界気に入ったかも。椿さんの後ろに付くと、
椿さんが、追いついた自分に気が付いたようだ。
「さすが、てってぺんとるって言っただけあるわ、もう少し飛ばすね」
こういうスピード勝負は負けたくないっていうプライドがある
「ある程度行けますよ。」
ある程度。好きだけど嫌いな言葉だ。曖昧でどんな結果になっても、責められずに済む。
椿さんが加速する。はやい。なんだ?
体は全然疲れてないのに、スピードが上がらない。
それにきずいたのか、椿さんはスピードを落てるのか、だんだん近くに来る。
「飛ばしすぎた。悪い悪い。ポイント振ってないから、最高速度がきまってて、そりゃ追いつけないわ。」
「ポイントってそういう意味合いがあるんですね。」
「上限解放って感じだからな、それに、初速も速くなる。超重要。ところで、そこら辺に店なんかあるけど、見ていく? でも戦いたいか?」
ポイント重要だなぁ。じゃぁ上限まではひきだせるってこと?
それだいぶ重要だな。買い物はまずい。結構ケチっちゃうんだよな。
こんな自分が恥ずかしっ、ここはごまかそう。
「へぇ。別にショッピングはいいです。戦いたいです。レベル上げしましょう」
貯金しとこう。そういえば、フリージアが来ていない。
なんだろう、でも速さについてこれなかった臭がプンプンするな。まずった。
「フリージアおいてきちゃったけど大丈夫ですかね?」
「あとで怒られるかもしんないけど、うーん」
スピード出しすぎなんだよな。
「あっ、ひょっとして俺が飛ばしすぎたから来てないと思ってたりする?」
そうだよ! 相づちを打つ。
「ナビゲーションする奴は、どんな速さにも追いつく。見失わないためにな。」
「あえて、ついてこなかったと?」
「きっとメルトの奴が引き留めたんだろう。戦う際は邪魔になることが多々あるからな。」
ホントにナビゲーションするだけだな。女子会なんかをやってんのかな。
「女性たちの雑談には男が混じっちゃだめだから、自分たちは行きましょう。」
「そうだな。」
風景がジャンジャン流れていく。見えてきた。
明るい建物がたくさん並んでいる。
ここ周辺は今までの風景とは違って人の行き来が激しい。人酔いしそうなぐらいに。
「人が多すぎです。」
「ここは、ディストピア唯一無二の貿易可能な場所シュトらーセ。だからな。ほらあそこに見える、潜水艇みたいなものでな。商人しか乗れなくて、搭乗料も激高だけど、あんなにいるってことは?」
「シュトラーセ。商人。儲かる....」
「そうだ。ここに持ってきた品は全て完売。潜水艇に持ってくるまでにレベル800相当の魔物がいるって話だからな。」
「お金を儲けられるなら商人をやってもいいと思ったが、どっちにしても強くなんなきゃならんのか....」
「金にしか目がないのか!」
「あ、口に出てました? 恥ずかし!」
「乙女か! あっちに外に出れるゲートがあるから行くぞ。」
「はい」
椿さんは変形した。人型に。こっちは重々しくてカッコいい!
戦闘機の原型が全く残ってないがな、
ゲートに着いたが上から行くとかなりすんなりいくようだ。
ゲートを潜り抜けると一気に人が減った。皆外、でないの?!
「椿さーん。ここ人が少なすぎませんか?」
「ここVIP用だから少ないんだよ。」
VIP用? え、それってヤバイ。こんな俺が来ていいのか?
でも、そう言われてみれば装飾も高級そうに見える。
シャンデリアに、石像、噴水に赤絨毯だって高級そうだ・
「自分ここにいてもいいんですか?」
気持ち、周りの視線が痛いけど。
「大丈夫。てっぺん獲ってもらうからさ。」
「まぁね!」
即答するが。
「そんなに自身があるなら、うじうじしてないで堂々としろ。ちょっとその03の番号のとこいといて。燃料満タンまで入れてくるからさ。」
「03番ですね、待っときまーす。」
椿さんは行ってしまった。03番ね。
人とすれ違うたびに毎回驚かれるけど、装備見た感じで、初心者ってやっぱり分かるのか。
新人なんて珍しいだろうからな。前回いっぱい人来てたし。
それにしても皆装備がカッコいい。
ゴツイのもいればひょろローンってした感じのもいる。高そうだし強そう。
皆VIPルームにいるってことは、強いんだろうなー。
ちなみに椿さんってどんぐらい強いんだろう、
レベル500とかかな、なんて考えてたら椿さんがやってきた。
「悪い悪い。機械種は燃料っていう概念があるからな。」
やっぱり燃料管理大変なんだろうな。選ばなくてよかった。
まぁだからと言って、海中で空が飛べるスキルをどう使うんだ! って話だけどね。
「大丈夫です。さぁ早く、戦ってみたいです。」
結構うずうずしている。ゲームがどんなもんなのか。
「やる気満々だな。潜水服のフードちゃんとかぶれよ。」
「はい!」
03番のドアが開く。穴がたくさん開いている部屋だ。麻薬中毒者なんかが見たら壁が目玉に見えるとか言ってるやつだな。
「行くぞ」
二人とも入るとドアが閉まり、穴から水が出てくる。こういう仕組みなんだな、なんて感心していたが。
「ここからはアルムアンクルの通信機能を使うから、腕、見せろ。」
左手を差し出す。光った。
「聞こえるか?」
通話ができるようになった。
「聞こえました。」
水に包み込まれ、入り口とは逆の方のドアが開いて外が見えた。
もうすぐで外に出れる!
やったー