お掃除
新しい使用人、由紀奈、エリー、リアムが来て五日が経った。
何もなく平和に過ごしていた。
エリーは指に怪我を負いながらも、料理の腕は着実に上げる。
由紀奈は、庭の花の手入れを主に頑張っている。
リアムも少しずつだが、馴染んできて茜と時和に掃除を教えてもらっている。
ルークの馬は、明日アグナと村へ行くことになった。
ケインも嬉しそうにしていた。
リアムが図書館の掃除をしている。
隣には茜が読書をしていた。
「あの……茜さん、掃除、しないと」
リアムは怯えながら茜に指摘をする。
「んー?いいのよ、時和にサボっている事がばれなきゃねー」
リアムは茜の言葉に呆れるが、何も言い返さなかった。
茜は本を読み終え、また新しい本に手を伸ばし読みふける。
リアムは一人でとても広い図書館を掃除している。
扉が開く音がした。
棚の隙間から時和の姿が見えた。
リアムは、時和に駆け寄り茜の場所へと案内する。
茜は、読書に集中して時和の存在に気づいていない。
だんだんと近づく。
「あ・か・ね。何してるんですか」
名前はあざとく、あとは冷めたい声で時和は茜の目の前で言う。
「――って、時和。なんで、あ!リアムがチクったのね」
驚きを隠せず、自分でサボったと遠回しに言った。
リアムの方を見るが、時和の後ろに隠れている。
「チクったってなにを?僕はリアムに場所を教えてもらっただけなんだけど」
「は?あぁ。そうよね、リアムが私がサボったとか言うはずないもんね」
語るに落ちていく。
「へ~サボってたんだ。リアム、貴方はそこの椅子で休んでいていいよ」
時和は、リアムに頑張ったからという理由で休憩させる。
だが、茜には休憩を与えず掃除させる。
「は、私だけ?嘘でしょ」
「そうだね、半分やって」
半分、それは25畳もの広さがある。
本、本棚、床、壁。
全てを一人でやれとの罰だった。
茜が本棚から本を取り出し、本棚を綺麗にして本をもと合った場所へと戻す。
それを時和は横から監視する。
その間、リアムは渡された本を読んでいた。
すると、疲れたのか茜は口を開く。
「時和って、リアムにかなり気に入られたよね」
「……そうだね」
「やっぱ、時和が男の娘だか――」
茜が話している途中に、顔に本が飛んできて見事に当たった。
「それやめて、よく分からないけどなんかムカつくから」
「わ、分かったから、本投げるのやめて」
時和が溜息をつく。
「もう、口動かさず手を動かして」
茜は、小声で何かを言いながら再開する。
時和にも聞こえていたが、あえて聞こえないふりをしていた。
リアムも時和にだけ心をちゃんと開いている感じだった