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残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第一章 ~新しい部下~
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思い出

 ミランが一人で浴槽に浸かっていると、そこに、セリアとコンロンが入ってくる。


「あら、ミランじゃない。一緒にいい?」


 ミランは、迷ったが、


「いえ、私は出ますので」


 と、断る。

 セリアは笑みを浮かべて、


「さっき入っていたじゃない、いいから入りましょ」


 セリアはミランが浴室に入るところを見て、ここに来ていた。


「ミラン、久々に一緒に入るぞ」


と、コンロンも乗る気だ。


「分かりました。ではご一緒に」


 ミランは。ブレア家は似た人ばかりだと改めて実感した。

 ミランは、セリアがコンロンの背中を洗っているのを見て、


「セリア様、背中を洗いましょうか?」


 と、聞いてみた。


「そうね、じゃあお願い」


 コンロンの背中を洗いながらセリアは答える。

 タオルに、ボディソープを付け、泡立たせる。

 ミランはセリアの背中を洗い始める。


「懐かしいわね、丁度ミランが初めてここに来た時のことを思い出すわ」


 十年前、ミランはイソティス城に来た。

 湊の時と違い、まだ人形(ドール)の事件も少なく警戒のためではなく、セリアがただミランと入りたくて、入った。

 その時は、二人背中を流し合っていた。

 年が経ち、ミランはメイド長になり、それからきっぱりと一緒に入ることはなくなった。

 コンロンとは、ミランがメイド長になる前にセリアが忙しい時一緒に入っていた。

 と言っても、もう五年は経っている。


「私も、ミランの背中洗ってあげようか?」


「私はもう洗いましたので」


「それは残念」


 二人は顔を合わせてほほ笑む。


「今日のセリア様は少し不機嫌そうでしたが何かあったのですか?」


「いつもの事よ、コンロンと茜のね」


 ミランは察したかのように愛想笑いを浮かべた。

コンロンも二人の話を聞いていて、話に入る。


「あれは私悪くないぞ」


「二人とも悪いわよ、毎日顔を合わせるたびに口喧嘩して」


 セリアは呆れ気味に呟いた。


「ここに茜もいたら昔の再現みたいになりますね」


 ミランが微笑みながらそう言った。

 セリアはその言葉に溜息をつく。


「そうだけど、もうごめんよ」


「そうですね、私も同感です」


 次は、セリアだけでなくミランも同じよう溜息をついた。


「二人とも疲れているのか?」


 コンロンが二人の様子を見て聞く。


「あんたたちのせいよ」


「コンロン様のせいでもあります」


 同じタイミングでコンロンに言う。

 コンロンは立ち、シャワーで泡を落とし、一人浴槽に入った。


「怒りましたかね?」


 ミランは責め過ぎたのかと思った。


「ふてくされただけよ」


 セリアはあまり気にしていなかった。

 二人は目を合わせる。


「入りましょうか」


 セリアのその言葉で、セリアとミランも浴槽へと入っていった。

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