全てを敵に回して (上)
予定とは違い、夜は長くなりそうだった。
睡眠薬で眠っている間にするつもりだった事が出来なくなってしまった。
もう、今日で終わらせると言ってある。
だから、今日で終わらせるしかない。
寿司も食べ終わり、一人ひとりに配れるほど作られたクッキーを貰い、皆がゆっくりしていた。
クラパムは自室へと戻ってしまい、時和やセリアは食器などを洗いに行ってしまった。
湊は、クラパムの自室へ向かった。
「失礼します」
「どうぞ」
扉越しに声が聞こえる。
部屋に入って扉を閉める。
「どうしたの?」
「本日はおめでとうございます」
「硬いな、誕生日だからかな」
クラパムは、湊から硬くされることはあまり好きではないので、苦笑いを浮かべる。
「では、軽くします。今日はおめでとう」
「うん、ありがとう」
クラパムは湊が寂しそうにしている事に気づく。
何か行動をした訳ではない。
雰囲気でそう感じた。
「どうしたんだい」
「本当に、ごめんなさい」
と、クラパムが心配をして椅子から立った時に湊は抱き着くように、手を首の後ろに回す。
そして、毒が塗られている針で首を刺した。
クラパムの意識がなくなっていく。
そんな中、最後に湊の頭を撫でて死んでいった。
「……ね、…よ……」
小声で何かを言っていたが上手く聞き取れなかった。
その瞬間、涙が溜まるがぐっとこらえて表情を殺す。
そして、クラパムの自室を出て行った。
一人の人を狙いたいが、ほとんどが集まっている。
ルークはおそらく庭で剣を振っていると思い、庭に向かう。
すると、ホールで丁度ばったりと会った。
「また素振りか」
「まあな」
と、短い会話をしてすぐに湊は行動に移した。
また毒の塗られた新しい針を懐から出してルークの心臓部分を狙った。
突進するように刺そうとしたが、ルークは避けその針を湊の手から剣で弾いた。
湊は失敗してしまいやばいと思った。
ルークはまだ状況が解ってなかった。
湊はすぐに距離を取った。
「湊、どうしたんだよ」
「……」
湊は何も答えない。
物音に気付いたのか、茜が一人不思議そうに階段から降りてきた。
湊はそれに気づきすぐにルークを始末して茜も殺さなければならない。
そう思って、背中のあたりに隠し持っていた、由紀奈の投げナイフをルークに向かって投げた。
それも、ルークは剣で弾いた。が、その弾かれたナイフは天井のシャンデリアを吊るしている紐に当たりシャンデリアが落ちる。
ルークも湊も気づくことが出来なかった。
落ちたシャンデリアは茜を潰した。
「あ……あかね」
アーム部分が肉に刺さり、階段を茜の血が流れる。
明かりが無くなり、窓から入る月明りだけが唯一の明かりだった。
ルークは怯えていた。
その音に皆が集まり、ルークと湊が武器を持って戦っている姿と、茜が潰れている姿が目に入った。
コンロンは全身の力が抜けて倒れこむ。
駆け付けた皆は階段の上にいる。
シャンデリアのろうそくの火が階段を燃やす。
そのせいですぐに駆け付けに行くことが出来ない。
「二人とも何をしているんだ!――誰かクラパムを呼んできなさい」
とケインが焦りながらも指示をする。
ヴァレリがクラパムを呼びに行った。




