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残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第五章~悲しみに溺れて~
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最後の喜び

 あっという間に夕方になった。

 湊は相変わらず庭で寝ていた。

 装飾も終わり、時和も調理場に向かう。

 リアムと茜はホールで椅子に座り仮眠をとっていた。


 調理場では、コンロンとセリアはクッキーを作り、時和とミラン、ヴァレリ、エリーはお寿司を握っていた。


「難しいね」


と、珍しくミランが苦戦をしていた。

 シャリの量が多かったり少なかったりと丁度良い分量にならない。


「時和、これってコツ無い?の」


 時和は、慣れた手つきで綺麗に握っていた。


「えっと……慣れです」


 なんとも参考にならない。

 ミランは苦笑いを浮かべる。


「出来た!」


 コンロンの声が聞こえた。

 クッキーは上手くいったようだ。

 セリアとコンロンはハイタッチをする。

 

 相当嬉しかったのか、また作り始めた。

 

「魚切り終わりましたよ」


 と、ヴァレリが刺身を持ってくる。


「ラストスパート頑張るよー」


 時和が自然と仕切っていた。

 皆が声をあわせる。


「「おー」」


 そこに、コンロンとセリアも入っていた。


 湊が起きて、屋敷の中に入る。

 ホールで茜とリアムが寝ている姿を見るが起こさずに調理場に向かった。

 向かっていると、時和とすれ違った。


「やっぱそこ格好慣れないな」


「うるさいな、って起きるの遅いよ。もう料理できたから皆を呼びに行くところ。湊も呼んできてくれると助かるな~」


 厭味ったらしく言われるが、事実寝ていたので反論することは出来ない。


「あぁ……分かった」


「うん、よろしく!」


 と、時和は来ていた道を戻っていった。

 これは、全員を任せられたのだろう。

 仕方なく、呼びに行った。


 最後にクラパムを呼びに行く。


「失礼します」


 と、クラパムの自室の扉を開ける。


「ん、もう夕食の時間か」


 と、クラパムは暗い部屋で本を読んでいた。


「明るくしなければ目が悪くなりますよ」


「本に集中していてね、ありがとう」


 と、湊はその本に目が行く。


「医療の本ですか」


「うん、頑張っているけど難しくてね」


 と、クラパムは愛想笑いを浮かべた。


「あと少しでキリがいんだ。少ししたら行くから先に食べていても構わないと伝えておいてくれて構わないかな」


「分かりました、では失礼します」


 そう言ってクラパムの自室を出た。


 皆を呼んだ後、ダイニングルームに向かうとテーブルには寿司が並べられて、壁にはガーランドなどの装飾がされていた。

 湊は、真っ先に寿司に目が付いた。

 確か、睡眠薬を入れたのは塩だ、寿司の塩分は醤油だ。

 塩が全く関係しない料理が並べられていて驚いていた。


「すごいでしょ、結構うまく握れたと思ってるんだ」


 と驚いている湊に時和は自慢をした。

 驚いている意味が違うが、確かに見た目は完璧だった。


「ところで、兄様は?」


 コンロンがクラパムの姿がない事を疑問に思った。


「医療の本があと少しでキリがいいという事で、先に食べといてくれて構わないと、伝言を預かっています」


 すると、ケインは嬉しそうに笑う。


「本気なんだな、自分の誕生日を忘れてしまうくらい。応援する甲斐があるという物だよ」


「そうね、でも誕生日くらい覚えていて欲しいものね」


 キャラハンも嬉しそうに笑った。

 

 突然扉が開き、クラパムが姿を現した。

 その瞬間に、


「「クラパム 誕生日おめでとう!」」


 と、声をあわせてお祝いをする。

 いつもは『様』を付ける使用人も、『兄様』と呼ぶコンロンも「クラパム」と呼んだ。

 綺麗に聞こえるようにするためだ。


「ありがとう、すっかり忘れていたよ」


 と、とっても嬉しそうに笑ってくれた。

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