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残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第一章 ~新しい部下~
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二人の秘密

浴室でミランが、新人の案内をしていた。


「最後にここが浴室。ちなみに今いるのは女性専用、隣が男性専用」


 リアムが口を開かないまま、外へ出ようとする。


「大丈夫よ、今は誰の入浴時間でもないから。しかも案内してるのに出ろとか言わないわよ」


 と、愛想笑いを浮かべ、リアムを引き戻す。


「浴室の掃除は、基本的に茜に聞けばいいわ。不安でしょうけどね」


 と、ミランは愛想笑いを浮かべる。


「案内はこんな感じよ。何かあったら呼ぶから好きなように屋敷を歩いても良し、各自の部屋に戻って休息をとっても良し、ただ秘書室や居間には入らないことね」


 そう言い残し、ミランは浴室を出て行った。


「えっと、場所も場所ですけど、これからよろしくお願いします。由紀奈さん、リアムさん」


 エリーが礼儀正しくお辞儀をする。


「えぇ、こちらこそよろしく、エリー。あと呼び捨てでも構わないわよ、リアムもね」


「お願い……します」


 リアムは、打ち解けてはいないようだ。

 由紀奈とエリーは気にしている様子はなく、そのまま、浴室を出た。

 リアムもそれに付いていくように、浴室を出て行った。

 

 ミランは、庭に向かって歩く。

 歩いていると、廊下で湊と出くわす。


「庭にいると思っていたけど」


「さっきまでいた。案内は終わったのか?」


「湊が気になってることについて話をするから、私の部屋に来なさい」


 と、言ってミランは真っすぐ歩く。

 湊も付いていく。

 歩きながらも、会話を進める。


「気付いていたのか」


「えぇ、だってずっと見ていたわよ」


 湊は、黙り込む。

 新人が人形(ドール)の可能性についての事だ。

 階段を上がり、ミランの部屋につく。

 ミランは扉を開けて、湊も入っていく。


「お茶淹れるから座ってなさい」


「どうも」


 湊は、椅子に座りミランを待つ。

 ミランが紅茶を淹れて湊の所へ持っていく。


「新人たちが人形(ドール)の可能性は、正直言って判らないわ」


 湊は黙ったまま、ミランの話を聞く。


「油断し過ぎなのよ。特に殺気も感じないし」


「……」


「手慣れているなら話は別だけどね」


 湊は紅茶を口に含む。


「そっか、分かった」


「警戒は続けるべきでしょうね」


「リアムは対象に入れなくていいと思う。あれは人に慣れていない」


 ミランは紅茶を飲みカップを洗いに行く。

 湊も飲み干し、机の上に置く。


「俺は、庭に行ってゆっくりするよ」


「分かったわ、何かあったら呼びに行く」


 湊は、ミランの部屋を出た。

 

 ミランが湊の言葉使いに怒らないのには理由がある。

 とても簡単で単純な理由だ。

 湊とミランは交際をしている。

 それは誰も知らない、二人しか知らない事実だ。

 別に交際を禁止されているわけではないが、知られると面倒なのだ。

 特に茜にだけは知られないように気を付けている。

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