表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第三章 ~一難去って~
20/36

悲しみを乗り越え

今回長めです。

暇なときにでも読んでくださいね!

 今日も調理場では、セリアとコンロンはクッキー作りの練習をしていた。

 時和やヴァレリに材料やその分量を聞くことなくクッキー生地が出来た。

 セリアとコンロンは喜び、ハイタッチを交わす。

 そこに丁度ヴァレリがやってきた。


「ヴァレリ、クッキーの生地ってこんなんでいいのか?」


コンロンが笑顔のまま聞く。


「申し訳ありません、私はデザート系統は鈍くて、ですがそろそろエリーが来ると思いますので」


 と、頭を下げる。


「いいのよ、ありがとね」


「はい」


 セリアの言葉に返事をして、夕飯の支度にとりかかる。

 

 すぐにエリーが来て、コンロンがヴァレリにした質問と同じことを言う。


「エリー、クッキーの生地ってこんなんでいいのか?」


 そう言われ、クッキーの生地を触る。


「おそらくいいと思います。味は実際に焼いてみないとわかりませんが……」


「甘さとか良いぐらいだったぞ」


 コンロンの発言をそのまま取れば、生の生地を食べたという事になる。


「まさかこれを食べたのですか?」


 おそるおそるエリーが聞くと、不思議そうな顔でこちらを見る。


「小麦粉って消化が悪くお腹壊したり、産地にもよりますが、菌が感染したりするんです」


 エリーの言葉を聞いた瞬間、コンロンの顔が青ざめていく。

 セリアの顔を見て、泣きそうな顔になっている。

 その状況を見て、エリーは慌ててフォローを加える。


「あ、でも少しだけなら多分大丈夫です」


 エリー自身も良く分かってないので、多分と言ってしまった。


「エリーの意地悪」


「でも、本当にお腹壊したりするので気を付けてください」


 コンロンはそのままセリアと作った生地を半分に切る。

 片方をセリアの前の板に置き、黙々とクッキーを伸ばし始めた。

 セリアが、エリーを呼んで小声で話す。


「ごめんね、まだ子供だから単純なのよ」


「いえ、こちらこそ申し訳ありません」


「本人は大人ぶって強がっているだけだから」


「はい、気を付けます」


「ありがとう」


 それで小声の会話も終わり、セリアは生地を伸ばし始める。

 エリーも、ヴァレリの手伝いに行った。

 

 ヴァレリは、ジャガイモの皮をむいていた。


「何を作るんですか?」


 エリーが後ろから聞く。


「肉じゃがと言う料理を作ってみたくてね」


 そう言いながらメモ用紙を見て作っていた。


「肉じゃがと言うと、時和さんが得意な奴ですかね」


「そうそう、城の料理に合わなそうなやつ、でも美味しいやつ」


「そうなんですか、見たことも食べたことも無いので楽しみです」


 エリーは笑いながら話していた。

 ヴァレリもその笑顔につられ、笑みをこぼす。

 

 そこに時和が入ってくる。


「何しているんですかー」


 その声にエリーが反応する。


「あ、時和さん。今肉じゃがという物を作ろうとしているんです」


「そっかー、分からくなったら言ってね」


 ヴァレリは包丁を置いて、


「時和さんはしないんですか?」


「やってもいいけどヴァレリたちの肉じゃがを食べてみたいからさ」


「そうですか、頑張ります」


 ヴァレリはやる気を漲らせ、ジャガイモの皮を剝く。

 エリーはヴァレリが持っていたメモを読んでいる。

 その二人を微笑ましく思えた。


「時和、こっち来てー」


 と、コンロンが大きな声を出す。


「分かりました、すぐに向かいます」


 ヴァレリとエリーに手を振りながらコンロンの所へ行く。

 コンロンはオーブンの前にいた。


「なんか臭い」


 時和はすぐに原因が分かった。

 コンロンがオーブンの前にいてその匂いも焦げ臭い。


 クッキーが焦げている。


 時和は急いでオーブンを開ける。

 その中には真っ黒に焦げたクッキーがあった。


「やっぱり」


「焦げていた匂いだったのね」


 セリアも納得する。


「これは勿体ないですが処分しておきますね」


 と、時和が真黒のクッキーを集める。


「食べてはいけないのか?」


 コンロンは少し悔しそうに聞く。


「残念なら、食べたら病気になる可能性もあるので」


「そうか……」


「明日、おいしいものを作りましょう」


 コンロンは時和の励ましに、笑顔を見せ元気よく頷いた。


書斎では、ケインとミランが話をしていた。


「皆はどんな感じだ」


「少しずつ、受け入れ落ち着いてきました」


 由紀奈の事が起きて暗い空気が屋敷中に漂っていた。


「そうかそれは良かった」


 ケインは微笑んで見せた。

 しかしミランには解っていた。

 一番つらいのはケインのはずだ。

 それをもう表には見せようとしない。


「ところで、私が傀儡子という事に気づいている人は誰かいそうかな」


「そうですね、少なくとも湊には気付かれているでしょうね」


 ブレア家は傀儡子の家族

 それを知っているのはミランだけだ。

 

 傀儡子は、借金を抱える者や宿無しを所有物のように扱う人間の事だ。

 ただし、傀儡子はかなりの金持ちにしかなれない。

 お金を持つものが上に立つ、それがこの世の中だ。


 ケインは、借金を抱える者や、宿無しを使用人として雇い、給料と言う名の報酬を与えているに過ぎない。

 ケインの祖父がかなりの過激派だった。

 祖父のやり方に違和感などを覚えた。

 実際に傀儡子になったケインは、人形(ドール)にも人のように扱い優しくすると決意した。

 キャラハンも反対することなく、今がある。


 祖父のやり方を見ていたせいか、過剰なほど優しくしていた。


 それをなぜ言わないのか。

 ケイン自身も分かっているからだ。


 傀儡子がどのような存在なのかを――。

これで三章終わりですかね~

四章も楽しんでね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ