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残酷な世界のいたずら。  作者: 紗厘
第二章 ~始まりの夜~
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決断と疑いと不安

 十分程経っただろうか。

 由紀奈はその間、何度か逃げようとしていた。

 そのたびに、アグナとルークが止めている。

 ケインはまだ、信じられないのか悩んでいる。


「ケイン様、この状況でまだ迷いますか。ルークはもう左腕に傷を負っています。決断をしてくださればすぐに抑えることも可能です。拷問の結果『白』と分かればいんです」


 湊は少し焦っていた。


「……分かった。ただし食事などは必ず――」


 ケインはやっと決断をした。

 湊はケインの一言目が聞こえた時点で動いていた。

 無言で動き、由紀奈の腹に一発殴り、屈んだすきに首の後ろを勢いよく衝撃を与える。

 由紀奈は倒れこむ。

 湊の動きはかなり洗練されていて、アグナしかしっかりと目で追うことが出来なかった。

 アグナはこの時に湊も警戒していた。

 ただの処刑人がここまで動けるわけがない。

 まだ何かを隠していると確信をした。


 湊は由紀奈を担ぐ。


「ケイン様、先ほど話していた池の近くに使っていない倉庫がありますよね、使わせていただきます」


 ケインは、冷静ではなかった。

 信じていた人が殺そうとしていた。

 湊の雰囲気の変わりように。

 すべての状況のせいで冷静ではなかった。


「あ……あぁ」


 その返事を聞き、湊は動こうとする。

 冷静でないのはケインだけではない。

 冷静な人は、湊とアグナの二人だけだ。


「ケイン様、倉庫のカギはどこにありますか」


「あぁ、カギか。すぐに持ってこよう。少しここで待っていてくれ」


「分かりました」


 ケインは今にも倒れそうに歩いていく。


「ルーク。ケインに肩を貸してあげなさい」


 アグナがケインの姿を見てルークに指示をした。


「は、はい」


 ルークは急いでケインの元へ行き、力を貸す。


 皆、こんなことがあれば食欲も失せるという物。


「ごめん、もう私は部屋に戻って寝るわね」


 セリアがそう言ってダイニングルームを出る。

 無言でコンロンも付いていった。


「僕もそうするよ」


 クラパムも自室へ戻る。


 皆が一言ずつ言ってダイニングルームを出る。

そこに残ったのは、湊、担がれている由紀奈、アグナとキャラハン。

ケインが戻ってきて、湊にカギを渡す。


「ありがとうございます」


 一言だけ言って自室へと向かっていった。


「アグナも戻りなさい」


 ケインのその言葉に、アグナも出ていく。


「どう思う」


 キャラハンがケインに聞く。


「由紀奈が人形(ドール)じゃないことを祈るだけだよ」


「そっちじゃなくて、湊の方よ」


 ケインはその質問にはうつむく。

 すると少し口を開く。


「湊はな、ただの処刑人ではない。全部は言わなかったが、人形(ドール)に対してだけの処刑人だった。ただ上に言われたように殺していた」


 キャラハンはケインの言葉に驚かされる。


「じゃあなんで言わなかったの。皆が不安になるだけじゃない」


「湊に処刑人の事は言ってもいいが、人形(ドール)専攻の処刑人と言う事だけは言わないでほしい、と言われていてな。なぜかは知らないが」


 キャラハンは黙り込む。


「今の動きも人形ドールが逃げた時のためのものだろう」


 ケインはキャラハンに教えるように言っているが、ケイン自身に言い聞かせるためにも言っていた。

 キャラハンは、ケインの言葉を自分に言い聞かせる。


「そうよね、湊に限ってね」

 

 キャラハンは一息置いて、


「私たちも部屋に戻りましょ」


「そうだな」


 ダイニングルームは荒れたまま、無人の部屋になった。


二章がこれで終わりですかね。

次から三章にとつにゅ~


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