こころにやみ
まるで、呪い。
愛とは、まるで、呪い。
愛ゆえに、盲目になり。
愛ゆえに、人を傷つけ。
愛ゆえに、狂気に目覚め。
愛ゆえに、全てを巻き込む。
「……」
空は、黒い。本当に、黒い。
星のひとつも見えはしない。ただただ、黒が一面に広がっている。
黒は、嫌いだった。私の好きな色は、白だった。
白い翼が日に日に黒く染まっていく様を見るのは、本当に辛かった。
かと言って、私には何も出来なかった。洗ってあげる事も、優しい言葉をかける事も、出来なかった。幼かった私は、醜い安奈に恐怖していた。ただただ、毎日震えていた。
「安奈……寂しかったんだよね」
私はお腹をさすった。
ふと、ある曲のフレーズが頭をよぎる。
「この寒い季節だから貴方の側にいられる。冬の風はより一層二人の距離を短くした。貴方の右手から感じるぬくもりは、心も、体も、私を温めてくれる」
……松本さん……
松本さんは、安奈を愛してくれたよね……
本当に、嬉しかった……私も、安奈も、凄く嬉しかったよ……
だけど、私が愛する事は許されなかったんだよね。私の愛は、呪いだから……
……色々な想いが頭をよぎる。
安奈の事。アイツの事。彩ねぇの事。けいちゃんの事。松本さんの事。そして、私の事。
グチャグチャになりすぎて、もう何がなんだか解らない。私は安奈? 私は礼奈? もしくは新しい私? 解らない。解らない。
混乱しているはずなのに。錯乱しているはずなのに。
何でだろう。心は、とても穏やかな気分だ。
「先に行って、待ってますね、松本さん」
私は、一歩、足を踏み出した。
空は、やはり、黒かった。




