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安奈  作者: はにゃにゃき
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電話

 朝起きて時計を眺めると、7時ちょっと過ぎであった。

 昨日はあまり良く眠れたとは言えない……それでも早く起きてしまうという学生の習性が恨めしい。

「今日から休みじゃないか……」

 そう、今日から一ヶ月ほどの冬休み。昼まで寝たって、誰に怒られる訳でも無い。

 寒いし天気悪いし布団から出たくない。

 寒いし天気悪いし布団から出たくないのだが、それでも僕はもう一度眠る気にはなれなかった。昨日の事を考えると……じっとしている事が出来ない。

 何が出来る訳でも、何をするでもないのだが……ただじっとはしていられず、僕は起き上がり、ノソノソと部屋を出る。

 洗面台へと向かい、顔を洗ってハッキリしない頭を目覚めさせた。歯を磨き、口の中もスッキリとさせてみた。

 それでも、やはり気分は冴えていない。

 昨日の事を考えると、元気なんか出ようも無い。

 僕は結局クリスマスパーティーには出席できず、知らない人の付き添いとして病院に居たのだ。

 しかもあの松本さんって言う人は、聞くところによると安奈さんと同棲していると言う……

 同棲と言うくらいだからもちろん二人は……大人の関係を結んでいないはずが無く……

 安奈さんは……あの純情そうな安奈さんは……

 そう考えてしまうと、元気なんか出ようも無い。

 しかも昨日の僕ときたら、終始オロオロしていてずっと傍観者であった。

 話の中心はずっと安奈さんか松本さんで……僕はただずっとオロオロとして……目ばっかり泳いで……

 すっごく格好悪かった。


 僕は朝食であるパンをほおばりながら、なんとなくテレビを見ている。

 テレビでは朝のニュースでクリスマス特集なんてものをやっていた。

 ……そういえば、今日がクリスマス本番なんだ。という事に今更気がつく。

 しかし僕には彼女も居ないし今更家族とクリスマスを祝う歳でも無い。早い話、今日の予定は特に無い。

 あえて言うなら安奈さんとの約束くらいなのだが、安奈さんは昨日のあの状態から元に戻っているのだろうか。

 僕は彩子さんに渡されたメモ用紙を取り出す。

 彩子さんは「何かあったら連絡してね」と言って、僕に携帯電話の番号をメモ用紙に書いて渡していたのだ。

 電話しようか……と、何度も思い返していた。

 確か今日から3日間、彩子さんは安奈さんと同じ部屋で一緒に住むと言っていた。

 彩子さんに連絡すれば、僕はまた安奈さんに会えるかも知れない。

 ……いや、今日はクリスマスなんだから、三人でパーティーなんて事も出来るかも知れない。

 やばい、なんだか胸がドキドキしてきた。無性にテンションもあがる。

 電話しよう……僕はパンを食べ終えた時、そう決意していた。


 家の電話を手に取り、間違わないようにゆっくりと確実にボタンを押す。

 ドキドキが大きくなっていく……

 楽しみで楽しみで、朝の憂鬱な気分はもうどこかへと飛んでいってしまっていた。

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