捜索
安奈が……消えた。
居ない。
「……安奈……?」
泣き声が止んで、何が起こったのかと思い急いで玄関までかけつかたのだが……
もう、安奈は居なかった……
「えいちゃん……?」
うるせぇ黙ってろ。
「安奈!?」
大声で呼んでみる。
しかし、返事は無い。
「どこいっちゃったんだろね」
「うるせぇ黙ってろ」
彩子は黙った。
アパートから出て少し辺りを見回してみる。
しかしそこは下校途中の中学生やら高校生やらが歩いているだけで、どこにも安奈の姿は見当たらなかった。
「はっ……はっ……」
たいして走ってもいないのに、息切れがする……
ドクンドクンと、心臓の音が高鳴る……
胸が苦しい……体が震える……
「あぁ……あぁぁ……」
居ない……消えた……
安奈が消えた……
「マジかよ……」
安奈はもしかして、まだ誤解しているんじゃないだろうか……?
泣いてる最中、俺がかけ続けていた言葉は、きっと安奈の耳には届いていなかった。
つまり彩子の言葉をそのまま信じて……
あいつはもうあの部屋には居場所がないと……
それで……出て行った?
「お……おぉ……」
落ち着け……まだそんな遠くに行っている訳がない。
取り乱すな、キレるな。
探せ。きっと、まだ近くに居る。
俺は急いでアパートに戻り、バイクの鍵を取り出す。
雪が多少積もってはいるが……仕方ない。
「彩子ぉ!!」
俺はぽけっとしながら布団の上に座っている彩子に向かって怒鳴った。
彩子は目をぱちくりさせて俺のほうを見る。
「お前は、留守番だ。絶対そこを動くんじゃねぇぞ」
「は?」
俺はそれだけを言って外へと駆け出していった。
後ろで彩子が何かを言っていたが、もうかまっていられない。
安奈は俺の生きがい……
とても強い反面、とても壊れやすい安奈……
天使のように純粋で、とても健気で、したたかで、この上無く美しい。
絶対に連れ戻すから。お前の帰る場所は、ここしか無いんだから。
見つけたら、言ってやるよ……
初めて「愛してる」って言ってやるから。
「見つけられろよ…」
エンジンに、火が入る。




