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~ 蓮 の 精霊 ~

言葉を 失ったかのように 少年は 只 じっと 虹 を 見つめていた


虹 が 微笑んだ …


少年は そう感じた …


虹 は 言った


「アリガトウ … 坊ヤ … 去ル前ニ 坊ヤト 話セテ 嬉カッタ … 」


少年 は 虹に 聞いた


「何処かへ行っちゃうの? 居なくなっちゃうの?」


虹 は 少年に 言った


「坊ヤ… 池ヲ見渡シテ ゴランナサイ … 」


虹 の 言葉に 少年は 池を ぐるっと 見渡した


「坊ヤ … 目ヲ閉ジテ … 今 見エタ 池ノ姿…形 … 色 … 全テヲ 心ニ甦ラセテ … 」


少年 は 虹の言う通りに


心 の 中 に 蓮の咲く 池を 浮かばせた …


ふわ~っと 優しい風が 少年の 頭を撫で 髪を揺らした


「坊ヤ … 私ハ 蓮ノ精霊 … モウ コノ池ヲ去ラナケレバ イケナイケレド … 坊ヤガ 私ヲ思イ出シテクレタナラ … コウシテ 逢エルノデス … サヨウナラ … 大気 君 … 」



「あっ!僕の名前 … 嫌だ !行かないで!! 蓮の精霊 !」



大気 は 慌てて 目を開いた


目を開くと 大気 は 池の淵に立っていた


池を満たした 蓮の花は 消え


虹 も 光りの泡粒達も メロディー も


何もかもが 消えていた …



「夢じゃない! 幻影なんかでもない! 僕は見たんだ! 絶対 本当なんだから!!」



大気 は 蓮が消え 淋し気な 池を 睨みつけながら 泣いた …



僕 … 悲しい!!


蓮の精霊が この池から いなくなってしまった事が 凄く 悲しいし 悔しいっ!



ヒクヒクッ と 引きつけながら 踞り 膝を抱えて 大気 は 涙を流して 泣いた …




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