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~ 蓮池 の 虹 ~

蓮の花が 大きな池の 三分の一 程になると


坊ヤ 其ノ蓮ニ乗ッテゴラン …


と 虹 の 優しい声が 聞こえ 虹 から 蓮の花が 池に降ろされた


少年を迎えるため 蓮の花は スゥーっと アメンボのように 水面を走った


「アハハッ! アハッ!!乗っていいの?」


少年は ニコニコとしながら 池の端に滑り着いた 蓮の花に ゆっくりと 足を乗せた


片足を乗せても 両足を乗せても 蓮の花 は沈まなかった


少年を乗せた 蓮の花は 水面を スゥー スィーっと 滑るように進んだ


「うわっ! イヤッホー!!」


立ち上がったままの 少年は グランと躰が揺れたので 蓮の花の上に座り


丸い 池 を スィースィー スゥーっと 進み 時々 蓮は クルリンっと回ったりして


少年は 弾けんばかりの笑顔を見せ 楽しんだ


少年を乗せた 蓮の花が 池を四週廻り終える頃


辺り一面に 蓮の花が 甦り 池は 蓮の花で満たされた


少年を乗せた蓮の花は 池の中心の 虹の元で止まった


池の中心から ぐる~っと 周りを見渡すと


どの場所にも 蓮の花が咲き


「あぁ ! 何時もの 池だ !!」


と 少年は 嬉しくなり 手を叩いて 喜んでいた


けれど 暫くすると …


少年は 虹の言った言葉を思い出し


「幻影って … なんだろう … 」


ポツリ と 呟いた …


「幻影トハ 幻 … 幻トハ … 其処ニナイ物ガ見エル事 … 人間達ハ ソウ言イマス … デスガ 本当ハ違ウ … 」


虹は 悲しそうに 応えた


「どう違うの ?」


少年は 虹に聞いた


「坊ヤ … 坊ヤノ 目ニ 嬉シイ楽シイ 今ノ坊ヤノ 気持チガ 見エマスカ?」


少年は 躰中を見回し


「うううん … 見えない … 」


虹に 応えた


「ソウ … 見エマセン … デモ 坊ヤハ 楽シイシ 嬉シイデショウ?」


少年は虹を見つめ うん! と 大きく頷いた


「ダケド … 目ニ 映ラナイカラ 無イ… 人間達ハ ソウ言ウノデス …」


蓮は 悲しそうな声で 話しを続けた


「坊ヤ … 目ニ映ル世界ガ 幻影ナノデス … 真実デハ無イ 世界 … 真実ヲ 現スト 追イヤラレテシマウ … 人間達ハ ソンナ世界ヲ望ンデシマッタノデス … 」


虹 が 泣いている …


少年は 何か言わなければと 言葉を探した


あれでもない ! それも違う ! 頭の中に幾つも幾つも浮かんでは 消える言葉達 …


少年は 困った顔をして 虹を見つめた


虹は 少年に 言った


「坊ヤ アリガトウ … 帰ル前ニ 坊ヤニ逢エテ嬉シカッタデス … 」


少年は 見つけた言葉を 慌てて 声に出した


「泣かないで ! 泣いちゃダメだよ!!」


虹 は 少年に 聞いた


「アリガトウ 坊ヤ … デモ 何故 泣イテハ イケナイノ?」


少年は う~ん? う~ん? と 首を傾げ


「泣いちゃダメだって … お父さんが … 男は泣くなって … 強くなれって … 」


虹は 優しく


「悲シイ時ハ 泣クモノデス … 涙ヲ流セバ善イノデスヨ … 何故ナラ 堪エタ悲シミハ 心ニ残リ 軈テ幾重ニモ重ナル 厚イ壁ニ変ワル…ソウシテ 気ヅカヌママニ … 本来在ルベキ人間ノ姿ヲ変エテシマウノデス … 壁ガ厚クナル程ニ 人間同士ノ繋ガリハ薄レ… 助ケ合ウ心ヤ 分カチ合ウ心ヲ 失ッテシマウノデス … 人間ダケガ 生キル世界デハ無イト云ウノニ … 坊ヤ … 泣ク事ハ 弱イ事デモ 恥ズカシイ事デモ 無イノデスヨ … 」


虹 の 言葉の意味の全てが 解った訳では無いが


虹 の 言葉 は 少年の 心に 響いた …

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