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第7話 国王オルテムとの密会

霧与の意外な一面が見られます。

霧与きりや、リーシア、そしてオルテム。

この三人だけとなった庭園で霧与は己の正体を明かした。

最初は半信半疑だったオルテムだが、リーシアから彼女に気づかれる事なく大規模な魔法を行使した事を聞きその目を見開いた。



「…しかし血を吸う化物とは。わしとしてはお主を拘束したい所じゃが…」

「まあ吸血に関して言えば、人間達の見解は大きく間違っちゃいるがな」

「どういう事じゃ?」

「…吸血行為ってのはそもそも食事じゃ無い。儀式だ」

「儀式とな」

「ああ、そうだ。しかもほとんど吸血鬼同士でやるもんだから無関係な人間には全く関係の無い事だ」

「…その儀式とは一体なんなのだ?」



そこで霧与の表情が歪む。

それに少し頰が赤い。

オルテムとリーシアはそんな霧与の表情に疑問を抱く。

霧与は恨めしそうにオルテムを見る。



「…そんな事まで言わなきゃダメか?」

「わしも王なのでな。お主が安全だと証明されるまでお主を好きにはさせれんのだ」

「…ハア。分かったよ、言えばいいんだろ」



霧与はヤケクソとばかりに了承する。



「その儀式ってのは…」

「その儀式とは?」

「…儀だ」

「…何と?」

「だから婚儀だと言ってんだろ!吸血行為ってんのは一種の婚約のキスみたいなもんなんだよ!」



それを聞いたリーシアは顔を真っ赤にして俯く。

オルテムは暫く呆然としていたが、下を向き肩を震わせる。



「…何笑ってんだよ」

「いやいや、お主の意外な一面を見たのでな」

「言ってろ」



オルテムの言葉に霧与は拗ねたようにソッポを向く。



「しかし何故吸血をするのだね?」

「…吸血鬼ってのは血肉の体を持つスピリット…精霊の様な存在でな。個体によって寿命や強さが大きく異なる事が多い。そこで配偶者を自分と同じ領域まで高める為に相手の血を半分吸い、自分の血を半分与える『ブラッドエンゲージ』を行うんだ。これにより寿命は血を与えた者と同じくらいになり、配偶者に強力な加護を与えられる」

「なるほど、配偶者を失わない為の契約魔法みたいな物なのか」

「なんだかロマンチックですね…」



オルテムは納得した様に頷き、リーシアはうっとりとしている。



「…で?全部話したが?」

「うむ、それならば良いだろう。こちらとしてもそういう事ならお主の自由を約束しよう」

「ああ、それとここを発つまでそこのチビっこに魔法を教える事になってな」

「リーシアにかね?そうか、それはありがたい。それならばこちらとしても融通をきかそう」

「本当ですか⁉︎ありがとうございますお父様!」



オルテムの言葉にリーシアは大いに喜んだ。



「所でお主はここを発ってからどうするつもりなのだ?見聞を広める為だけではあるまい」

「やっぱ気付いてたか」

「リーシアの言うほどの実力と己が真念を曲げぬ胆力を持つ。その様な者が今のこの時代の流れに大人しく身を任すとは思えないのでな」



オルテムの言いように霧与はため息を吐く。



「俺はひとまず魔界との国境を目指す」

「帝国と教会の動きを探るのだな」

「そうだ。情報は魔法で逐一共有したいんだが…」

「ほう、その様な魔法があるのか?」

「ああ、チビっこになら習得は可能な筈だ。距離も俺がパスをつなげば問題無いしな」

「あい分かった」

「私、頑張ります!」



リーシアのやる気満々な態度にオルテムは微笑ましそうに頷く。



「その後はやはり魔界に入るのか?」

「そのつもりだ。なかなか面白そうなんでな」

「うむ、わしとしてはそのまま人種族と魔族の架け橋になって貰えればと思うのじゃがな」

「何でそこまでしなきゃならん、面倒くさい。それこそあんたの仕事だろ」

「うむ、さすがになんでもお主任せなのはいけぬかの」

「当たり前だ」





そう言ったものの霧与はここから丁度一年後、魔界の首都ケリアノにてある人物とこの世界の行く末を左右する運命的な出会いをすることとなる。

そして大きな決断をする事をまだこの時は知る由も無い。




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