第6話 国王オルテムとの会談
「…やっべ!もうすぐ会談じゃねえか」
「私も出るようお父様に言われております。もし宜しければ一緒に参りませんか?」
「助かる。実言うと場所を忘れててな…」
向かった先は王族の居住区の中だった。
区画の前にはもちろん兵士もいたが三人組と一緒にこの世界に来た霧与と王族であるリーシアは顔パスで入る事が出来た。
入って少しするとガラス張りの庭園に出る。
(ほお〜…)
霧与はガラスや周りの装束を見て感心する。
それぞれが魔方陣になっており盗聴や侵入を防ぐ為の術式が施されている。
それが庭園に違和感なく溶け込んでいた。
「流石だな」
「お分かりですか?」
「まあな」
リーシアと軽く言葉を交わすとテラスの中央に向かう。
既に佐山圭人、桑崎由花、多賀貴一の三人と国王オルテム リム リスアニア、第一王女アリシア リズ リスアニアが中央のテーブルに腰掛けていた。
「スマン、遅くなった」
「いや、まだ約束の時間にはなっていない。さ、掛けるがよい」
霧与は残っていた椅子に掛ける。
隣は由花だった。
「ねね、何でリーシアちゃんと一緒だったの?」
開口一番野次馬根性丸出しだった。
「城内を散策中に偶然会ってな。一緒に行こうって話になったんだ」
「ふむふむ、霧与くんも隅に置けませんな〜」
「何でんな事になんだよ?」
「だってリーシアちゃん可愛いじゃない。いくら霧与くんでも鼻の下伸ばしてるんじゃないかと…」
「第一お前、王族にちゃん付けって」
「霧与くんには言われたくないな」
「…もういい」
霧与はそう言って前を向くとリーシアと目が合った。
顔が赤いところを見るに聞こえていた様だった。
国王オルテムも微笑ましそうに娘を見ている。
「では、始めよう」
そうオルテムが言って会談が始まった。
「まず最初に勇者候補の方々の返事を聞かせて欲しい」
オルテムの言葉に貴一が口を開く。
「俺達は『リスアニア王家』に協力します」
「『リスアニア王家』にかね」
「はい」
(なるほど…)
つまりリスアニア王家は信用するが他国や貴族はまだ信用出来るか分からないから保留すると言っているのだ。
「俺達には帰る手段がない。その為帰る手段を探すにせよこの世界で一生を過ごすにせよこの世界が平穏であって貰わなくてはいけません。その為には勇者候補の俺達も動くしかない。しかし俺達はこの世界を知らなさ過ぎる。その為信用出来る貴方につく事にしたのです」
「なるほど…あいわかった。そして霧与殿だが…」
オルテムが霧与に話しを振る。
「俺は宣言通りある程度情報を得たらこの城を発つつもりだ」
「そうか…何か目的でもあるのかね?」
「世界を回って見聞を広げるつもりだ。剣術も体得しているからよっぽど危険な場所へ行かん限り大丈夫だろ」
「そうか…。ところで滞在期間は決めているのか?」
「短くて一週間、長くて二週間と言ったところだな」
「あい分かった」
その後滞りなく話し合いも進む。
「では今日はこのぐらいにしようかの」
オルテムがそう言い席を立つ。
霧与達も席を立ち出口に向かう。
「霧与様!」
「…どうした?」
霧与が聞くとリーシアは誰にも聞こえないように霧与に耳打ちする。
「…お父様だけでも霧与様の事をお話しした方が良いかと想いまして。お父様は他の種族に対して友好的ですから霧与様の正体を聞いても大丈夫でしょう。それに霧与様が魔法をご指導をして頂く事を言えばそれなりに都合をつけていただけるでしょうし…」
如何でしょう?と聞いてくるリーシアを見ながら霧与は思案する。
(まあ魔法を教えると言った手前、国王には話しといた方が都合がいいか)
霧与はそう結論付けるとリーシアに頷きオルテムを見る。
「おい国王」
「うむ、どうした?」
「少し話しがある」
霧与はそう言いながらリーシアに目を向ける。
「…あい分かった。アリシア、圭人殿達と一緒に下がりなさい。わしは霧与殿と話しがあるのでな」
「分かりました」
アリシアは頷くと圭人達を伴って退出する。
それを見送ってオルテムは切り出した。
「…で、話しとは?」
「少し俺の事を話しておこうと思ってな」
「ほう」
オルテムは興味深そうに目を細めた。




