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第2話 謁見

「申し遅れました。私、リスアニア第一王女アリシア リズ リスアニアと申します」

「同じくリスアニア第二王女リーシア リズ リスアニアです」



状況を理解した(霧与きりや達は全く理解出来ていないが)ドレスの少女が魔術師の少女と自己紹介をした。



(…王族ってヤツか)



霧与は面倒臭い事になってきたと思いつつ一応名乗っておく事にした。



矢嶋やじまS霧与だ」

「っ!佐山圭人さやまけいとです」

桑崎由花かざきゆいかです」

「…多賀貴一たがきいち


(…お?)



貴一の不機嫌そうな態度に霧与は眼を細めた。



(おそらく先の会話で自分達が誰に連れてこられたか理解したな)



霧与も似たようなものなので咎める事はしなかった。



「申し訳ございませんがこれより私の父に会っていただけませんか?」

「…もしかして王様?」

「はい、リスアニア国王です」



アリシアは圭人の質問に律儀に答える。



「なあ、どうする?」



圭人は顔を顰めながら小声で聞いてくる。



「…行くしか無いんじゃない?」

「由花の言う通り今、状況を把握出来ていない以上行くしか無いな」

「俺も桑崎と多賀に賛成だ。情報が少な過ぎる。動くにしても現状把握が第一だろう」


(本当は多少情報が有るがそれを話すのにも俺の正体をこいつらに明かなきゃならん。出来れば言いたくはないんだが…)



霧与はそんな事を考えつつ妥当な返事をしておく。



「では連れて行って下さい」

「分かりました」





アリシアの先導される様にして連れて来られたのは彫刻のされた巨大な扉の前だった。



「ここは謁見の間になります。扉の向こうでは既に父と家臣の方々がお待ちです」



その言葉を聞き圭人が三人に確認する様に視線を向ける。

由花と貴一は頷き、霧与は沈黙をもって答える。

圭人も頷き返してからアリシアの方へ振り返る。



「お願いします」

「分かりました」



するとアリシアは扉の前にいる二人の兵士に頷きかける。

兵士達は敬礼をしてからその巨大な扉を開け放つ。





中はかなり広く、煌びやかな装飾が施されていた。

左右に家臣らしき者達が二十人程、控えている。

その部屋の一番奥が少し高くなっており、玉座らしき椅子の前に四十代位の人物が立っていた。



(こいつが国王か…)



霧与は隠す事なくその人物を観察する。



(まず第一印象はまあまあか。俺達を慣れた様に立って迎えた辺り、そこそこの人格者ではある様だな)



霧与がそんな事を考えている内に、玉座の前まで来ていた。

すると兵士達は膝をつきアリシアとリーシアも淑女らしい仕草で礼を尽くす。



「お父様、お連れいたしました」

「うむ、大義であった」



アリシアを労った国王は今度は霧与達に目を向ける。



「初めてお会いする。我はリスアニア国王オルテム リム リスアニア」



そこで国王は言葉を切ると神妙な顔をした。



「まずはそなた等の置かれている状況を説明しよう。ここはそなた等の住む世界とは別の世界、『ガドルタ』。そなた等は我の要望によって勇者として召喚されたのだ」



その言葉に霧与達は息を呑む。



「まず、そなた等を無理矢理呼び出した事に謝罪したい。本当に申し訳ない」



国王オルテムはそう言うと霧与達に頭を下げた。

すると謁見の間は騒然とする。

当たり前だ。

王が頭を下げたのだ。

家臣にしてみればただ事ではない。



(へ〜。頭を下げるか)



霧与は感心しながら口を開く。



「その勇者って言うのは買い被りじゃないのか?実際俺達は元の世界じゃ普通の学生だぞ」

「貴様‼︎陛下に対してその態度は何だ!」

「黙れよ。俺達はこの国の臣民ではいない。それに加え勝手に呼び出されたときてんだ。それで礼を尽くせとか調子乗るのもいい加減にしろよ」



家臣の内の一人が会話に割り込んで来たので、霧与は声を冷たくして切り捨てる…怒りの感情ものせて。

家臣は一瞬顔を青ざめるものの持ち直して口を開こうとする。



「もう良い」

「陛下‼︎しかし…」

「この者の言う事に間違えは無い。何時も言っているだろう。王とは権威では無く、その行いによって敬われなければならなんと。此度こたびの我の行いはこの者達にとって決して敬う事のできぬ事。良いな」

「はっ」



オルテムは家臣を嗜めたると再び霧与の方へ向き直る。



「すまぬ。家臣が出過ぎた真似押した。そなたに悪意があった訳では…」

「霧与だ」

「…何?」

「矢嶋S霧与だ。さすがに名乗られておきながら名乗らない訳にはいかないだろ。そこまで無作法でも無い」

「…そうか」



オルテムは愉快そうに頷く。

そこで圭人達も弾かれた様に自己紹介をした。

ただし、圭人と由花は敬語だったのに対し貴一は不機嫌に名前だけを口にするだけだった。


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