第85話 「意外な人に出会っちゃった」
ホセと友達になってから数日が過ぎた。あれからカディーのことは何も手掛かりは掴めていない。
とりあえず、最後の1人。ノックルのことも考えないといけないな。
「つっても、ノックル授業も出ないからどこいるのやら」
ただいま、授業中。相変わらずサボったノックルに続いて、俺もサボってます。
郷に入れば郷に従えって言うだろ。
「あ、シュラ・イレーゼル?」
中庭まで歩いてきたら、突然後ろから声が聞こえた。
「ん?」
どこかで聞いたことあるような。でも、別に友達でもないような。
「あ、お前、Bクラスの。ソディーをいじめていた」
あの時の、女か。
「ケイト・ミューンよ。あーあ。何で、今あんたに会っちゃうかな」
「どういう意味だよ」
「今はあんたにかまっている暇はないってことよ」
なんか、嫌な予感がする。こいつ、またなんか企んでいるのか?
「お前、授業中に何してるんだ」
「何で、あんたなんかに話さないといけないのよ」
そりゃ、そうだよな。
うーん。でも、このまま別れるのも後味が悪いというか。
「じゃあね」
「あ、おい。ちょっと待てって」
ケイトの腕を掴む。
「放して!」
ケイトが腕を払ったのと同時に、袖がめくれて細く白い腕が露わになる。しかし、そこにはケイトの腕に似つかない異様なものが刻まれていた。
「お前、その傷」
あれ? この傷、確かアンディー先生にも同じものが。
「見ないで!」
ケイトは、必死に腕を隠す。
その時、中庭の入り口の方から音が聞こえた。俺たちは、同時にその方向を見る。
「ノックル?」
「ケイト姉ちゃん」
ノックルの目は、俺ではなくケイトの方を向いている。
え? お姉ちゃん?
「ノックル」
ケイトの表情は、憎しみに満ちたものだった。