第78話 「こいつに女心が分かるのか?」
ソディーが俺の仲間になってくれれば、ホセとのことも解決する。
「とは言ったものの。どうするかなあ」
俺は一度ソディーに手を差し出した。それをあいつは拒んだんだ。
「んー。帰ってユアンに相談してみるかなあ。女心なんて分かんないし」
女性経験の全くない俺が、1人でソディーの気持ちを推測してみても何も思いつかない。ちなみに、ホセは手伝ってくれるつもりは皆無らしく、1人で早々に帰りやがった。
「ん?」
あれって。
「おい、ソディー? お前、何で1人で」
「シュラくん。っつ」
「あ、おい」
行っちゃったよ。そんなに嫌われてるの、俺って。
「あーあ。逃げられちゃった」
「サン!」
サンも、今から帰るのか。もしかしなくても、今の全部見てたよな。
「ユアンから聞いたよ、シュラ。また、ややこしいことになってるんだってな」
クラス違うのにユアンと仲良いな。
ユアンは違うと思うけど、こいつは絶対俺の状況を楽しんでると思う。
「まあ、お前ソディーの気持ち全然分かってなさげだもんな」
「何だよ、その言い方。サンは分かっているのか?」
いくらソディーと同じ部屋って言っても、ソディーがサンに自分の気持ちを言うとは思えないし。ユアンに話を聞いたくらいで分かったって言うのかよ。
「まあな。お前、どうせ前世でも男としか付き合ってこなかったんだろ」
当たっているだけに、言い返せない。
「そういうお前だって」
どうなんだ? てか、こいつ転生前は性別どっちだったんだ?
「私は90歳まで生きてるんだぞ。女性経験なんて、1つや2つどころじゃ」
なーんか、嘘っぽいよなあ。
俺の気持ちが視線で伝わったのか、サンは1つ咳払いをした。
「いいか? 女子っていうのはな、逃げているようで、本当はかまって欲しいと思ってんだよ」
「じゃあ、俺嫌われてるわけじゃないの? あれ、追いかけていいの?」
「もちろん」
サンが、自信満々に言う。
信じるぞ? 信じていいんだな?
「分かった」
俺は、サンを置いて寮の方へと走り出した。
「まあ、女子と女子の友達関係も、言いようによっては女性経験だよな」