第73話 「2剣使いの戦い方とは?」
俺だって、賢力が高いわけではない。だけど、バカって言われる筋合いもないと思う。
「不満そうな顔じゃのう」
そりゃ、誰だってバカって言われたら不機嫌になるだろ。
「おぬし、2剣使いのメリットは何じゃと思う?」
じいさんは俺の剣を拾い、剣先をこっちに向ける。
メリット?
「守りと攻撃が同時に行えること?」
相手の武器はたいてい1つだ。相手の攻撃を防ぎながらも、もう1つの剣で攻撃することが出来る。それが、メリットなんじゃないのか?
「おぬしは、想像力も乏しいんかのう」
じいさんは、呆れたようにため息を吐く。
うわっ。むかつく。
「なんだよ」
「相手が剣1本の場合はそれで通用するかもしれん。でも、おぬしのように2本の場合は? おぬしは守りに徹することしかできん。相手が魔法使いや飛び道具を使う場合は? おぬしは近づくことすらできん」
「それは」
確かにそうだ。特に、魔法なんて制約はない。連続で攻撃を繰り出すことが出来る。
「どうして、わしはこんだけ身軽に動けるようにしておるか」
じいさんが、ただすごいってだけじゃないのか? 理由があるってことだよな。
じいさんが身軽に動いてた時っていうと、俺の攻撃を避ける時?
「攻撃は最大の防御と言うじゃろう?」
じいさんは、片方の口角を釣り上げた。
まさか。メリットって。
「2本の剣で、同時に攻撃を行うのか?」
「そういうことじゃ」
じいさんは、持っていた剣を俺に放り投げる。
「相手の攻撃はひたすら避ける。攻撃をするときは、2本同時に繰り出す。そうすれば、相手は避けれん。特におぬしは剣から魔法を出すことも出来るんじゃから、攻撃の組み合わせは無限じゃ。これが、2剣使い。というよりも、わしの戦い方じゃ」
なるほど。それなら確かに相手を圧倒することが出来る。
ただ、避けきれればの話しだけど。
「もちろん、避けるための身体能力を高めるのに鍛錬は必要じゃ。どうじゃ? 大変じゃが、やってみるか?」
悩んだところで、それしか方法はないんだろう?
それなら、俺の答えは決まっている。
「当たり前だ。強くなるって、決めたんだから」
じいさんは、ユアンとよく似た笑みを浮かべた。