第71話 「これからどうしよう」
俺の手を、ソディーは掴んでくれなかった。
「おい。聞いてんのか,シュラ」
「んー」
とりあえずソディーのことはキャメルに任せた。もうあの2人に危害が及ぶことはないだろうし。
「おいってば!」
「うわっ」
目の前に、ユアンの顔が現れる。
「2人しかいない部屋で無視すんなよ」
「悪い。なに?」
「噂になってるぞ。Dクラスのシュラ・イレーゼルがBクラスに喧嘩を売ったって」
情報が回るの早いな。もう夜とは言え、今日の話しだぞ。
「お前な。Bクラス相手に出来ると思ってんのか?」
ユアンは、呆れた口調で言う。
そりゃ、俺だって。無謀だったかなってちょっと後悔したけど。でも、あそこでああ言わないと、どうしようもなかったんだ。
「ユアン。どうしよう。俺、言った後のことは考えてなかった」
「珍しく、弱気だな。俺も助けになれるといいんだけど」
ユアンは、Aクラス。いくらなんでも、四六時中関わることはできない。
これは、俺が招いた事態だ。ユアンに迷惑をかけるわけにもいかない。
「いや、大丈夫だ。何とかやってみるよ」
強くなる当てもある。あのじいさんに剣術を教えてもらいに行こう。
あとは、Bクラスがどのくらいの規模で来るかだけど。俺が耐えればいいだけだ。何もキャメルみたいに無抵抗で攻撃を受けるっていう約束はしてないし。
うん。何とかなるだろう。
「バカ」
ユアンが、俺の頭を軽くたたく。
「そうやって1人でなんでも背負い込もうとするから、こうなったんだろ。助けになれないとは言ってない。俺にも当てがあるから、1人で無茶しようとすんな」
俺は、ユアンのかっこいい言葉に、頭を叩いたことを怒る気にはなれなかった。