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第6話 「父上、母上、ごめんなさい」

 俺の両親、つまり国王と女王はご健在であり、仲も良い。2人とも一国を治めるにはふさわしくないほどの平和主義だった。


「シュラ。今日は何をしていたの?」


 夕食の席で、母上はいつも俺に聞く。


 日中、俺は常に母上と一緒にいるわけではないし、気になるのは分かるが。そろそろ息子離れをしてほしい。


「まさか、危ないことなんてしてないでしょうね?」


「ま、まさか。今日は、部屋で遊んでいました」


「そう。なら良かった」


 目の端で、机の隣に立っているリュンがかすかに笑ったのが見えた。


 お前が内緒だって言ったんだろうが。


「シュラ。お前が危険なことする必要なんてないんだからな。お前は、この国を治める者だ」


「はい。父上」


 父上も母上も、俺が力を身に着けることには反対である。

 現在世界は平和だし、この国が脅かされることもない。わざわざ努力しなくても、俺はそのまま成長してこの国を継げばいいと思っているのだ。


「ところで、シュラ。今何か欲しいものはないか?」


「そうですね」


 素直に言うなら、力が欲しい。なんて、そんなこと口が裂けても言えるはずがないし。


「あ、弟が欲しいです」


 父上と母上の顔が赤くなる。


 てか、別にやましい気持ちで言ったわけではない。下の子を欲しがるのは、誰でも通る道だろ?


「1人で遊ぶのもさみしいですし。弟がいたら楽しいかなって。父上。母上。だめですか?」


 俺は、この王子様風な整った顔立ちを最大限に生かした。


「頑張ってみよう」


「ありがとうございます」


 5歳児らしい、満面の笑みで答える。


 ただ、弟が欲しいわけではない。弟がいたら、そいつに国を治めさせれる。俺は心置きなく、冒険へと旅立てるわけだ。


 異世界に来たからには、世界中を回ってみたいにきまってる!


 俺の退屈でない日々への道は、着々と作られている。


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