第51話 「ユアンのため息の理由が分かった」
Dクラスには、現在5人の生徒がいるらしい。
人数が多いのは、C、B、Aクラス。S、特Sクラスも人数は少ない。
優秀なクラスが少ないのは分かるけどさ。Dクラス5人て。そんなに劣ったクラスなの? 俺、試験管に嫌われてたのかな。
「なあ、ユアン。俺、Dクラスにされるとか。試験管に嫌われてんのかな」
「ははっ。何だよ。まだ、気にしてんの? この学校の入学年齢は8から10歳。お前はまだ6歳だし。それも込みでの判断だろ。ほら、頑張るんだろ? Dクラスはあっちだ。じゃあな」
現在の唯一の味方は、早々に自分のクラスに行ってしまった。
「行くか!」
覚悟を決めて、Dクラスの部屋の前に立つ。しかし、俺が開ける前に、そのドアは勝手に開いた。
「うっせーんだよ!」
「え」
怒声と共に、ドアが吹き飛ぶ。
嘘は吐いていない。確かにドアは開いた。スライド式のはずなのに、俺の方向にドアが飛んでくる形によって。
「ストッツ! あっぶねー」
無の魔法使えて良かった。
ドアは俺の目の前で不自然な形で止まった。
「おい。大丈夫か? チビ」
突然チビ呼ばわりされ、イラつきながら声の方向を見る。
「でか」
思わず、声に出てしまった。
目の前の男は俺の数倍はある。そりゃ、俺はまだ6歳だから小さいけど。こいつはデカすぎだろ。
「お前、あれだろ。先生が言ってた新人。怪我しなくて良かったな。」
デカい男は、止まっていたはずのドアを軽々持ち上げ、部屋の中に入っていく。
あれ? 俺、魔法解いてないよな。なんで、ドア動かせるんだ?
しかも、持ってくれたって。目つき悪い割りに、良い奴なのかな。
「お前も入ってこいよ」
「あ、ああ」
デカい男に付いて、部屋の中に入る。
「お前ら、またか。いい加減にしろよ。先生来る前に取り付けとけよ」
部屋の中はめちゃくちゃ散らかっていたが、2人ずついる男女は片付ける様子を見せない。
部屋の中央で肩で息をして立っている男が、おそらくドアを吹き飛ばしたのだろう。もう1人の男は唯一整っている机で本を読んで全くこっちを見ない。
女の子2人は、一緒にいるが、どうも友達って雰囲気には見えないよな。片方はイケイケなねーちゃんって感じで。もう片方は眼鏡かけておどおどしたチキナーだ。
「ビケル。誰? その小さいの」
イケイケなねーちゃんだけ、俺に関心を示してくる。
このデカいやつ、ビケルっていうのか。
「先生が昨日言ってただろ。新人が来るって」
「シュラ・イレーゼルって言います。よろしくお願いします」
俺は、秩序のかけらも見られないこの部屋で、初めて声を発した。
「くせがあるやつが多いが。よろしくな、シュラ」
「ビケルが言うなよ」
「黙れよ。ノックル」
どうやら、Dクラスには普通のやつはいないみたいだな。