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第50話 「なんか、変なやつがいるんだけど(サン視点)」

 サン・メナクス。それが、転生した私に付いた名前だった。

 90年の生涯を終え、気づいたら生まれ変わって8年ちょい。国王様の執事の子供として生まれ、一応不自由なく育ってきた。


 ただ1つ不本意だったこと。それは、女として生まれてきたことだ。女が悪いとかではないけどさ。なんていうか、やっぱりねえ。お父様を説得して魔法やら剣術やらを教えてもらうのも苦労したんだよ。


 でも、法力はおそらく無尽蔵だし、シーク兄のおかげで剣術も教えてもらったし。

 別に望んで転生したわけじゃないけど、私、結構チートだと思うんだよね。


「君は、Aクラスだね」


 まさか、入学当初からAクラスに入れるとは思わなかったけど。


「生が使えないみたいだけど。特はまあ、使えるし。オリジナル性もあるし。剣術はその歳にしては相当な腕を持ってますね」


 おお。めっちゃ褒めてくれてる。お父様に似て生使えないけど、特使えて良かった。


「失礼します。先生、呼びましたか?」


「ああ。ユアン君。今日からAクラスに入るサン君だ。案内頼むよ」


「分かり、ました」


 ユアン? が私の顔を凝視する。失礼なやつだな。


「ユアン。サン・メナクスです。よろしく」


「あ、ああ。ユアン・メイスンだ。よろしく」


 ユアンに付いて、試験室を出た。


 なんか、すごい気まずそうな顔をしている。


「なあ。Aクラスって何人くらいいるの?」


「Aクラスは、今20人。入学当初からAクラスに入ってくるのは珍しいけど。お前、剣力も高いし、何かしてたのか?」


「ああ。私、剣術習ってた人がいるから」


 あれ? 何で、こいつ私の剣力知ってるんだ? さっきの先生にしか見せてないよな。呼ばれた時に聞いたのかな。


「結構いるんだな。私、同年代の子って1人しか会ったことないからなあ」


 城に子供はシュラしかいなかった。国王説得するって言ってたけど、どうするんだろう。


「1人って。お前、どっから来たの?」


「城。私、国王様の執事の子供だから」


「城?」


 なんか、めっちゃ驚いてる。


「じゃあ、シュラ。知ってるか? 王子様」


「そりゃ、もちろん。一緒に修行してたし。何で、知ってるの?」


 こんな遠いエリアのガキが、何で王子様を知ってるんだ?


「俺、ここの領主の息子なんだ。父さんに付いて城に行った時に友達になった。あれ、シュラの知り合いってことは、法力が無尽蔵なのも関係あんのか?」


 やっぱり、私のバラメーターばれてるよね。


「なあ、何で、私のバラメーター分かるの? さっきの先生に聞いたの?」


「あ。まあ、シュラの友達なら、いいか。俺、バラメーターが何もしなくても分かるんだ。誰にも言うなよ」


 そんな能力持ったやつがいるのか。シュラ、教えてくれよ。


「お前、すげえな!」


「くっ。あははは!」


「な、何だよ」


 変なやつだな。急に笑い出しやがった。


「悪い悪い。シュラと違う反応だなと思って。あいつ、初めて会った時、王子様って呼ぶなって。権力に興味ないって怒ってさ。まあ、仲直りしたけどな」


 そりゃ、あいつに王子様なんて呼んだら怒るわ。


「ははっ。私も言われた! 王子なんて嫌だってさ。あいつ絶対国王様説得してこの学校に来るって言ってたよ」


「まじで!」


 おお。嬉しそう。仲良いんだな。


「俺さ、シュラの言う退屈でない日常が見てみたいんだ。そのために、強くなりたい」


 確かに言ってたな。転生したからにはって。でも、それは私も同じだ。


「ユアン。私も、強くなって面白い人生を送りたいんだ。この世界で。改めて、よろしくな」


 私だって、折角転生したんだからこの世界を全て見てみたい。面白く生きたい。強くなりたい。


「お前、シュラと似てんな。よろしく」


 転生したやつって、考えることは同じなのかもな。


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