表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/132

第44話 「運命の相手に出会いました」

 第5エリアにある学校っていうのは、国内最大級のものらしい。別に、師匠やリュンに教えてもらうことに不満があるわけではないが、やっぱり学校でちゃんと習いたい。他の者たちと、競いたい。


 ただでさえ、サンに後れを取っているのに、今日も修行がなしとは。

 やる気なんて、出るはずがないよな。


「シュラ。何で、そんなふてくされているんだ。お前の望んだ通り、弟だって生まれたじゃないか」


 やべ。顔に出てたか。


「いえ。すいません。何でもないです」


 父上は俺の望みを何にも分かっていない。


「失礼します」


「しつれいします」


 俺と父上だけだった部屋に、2人の声が響いた。


 2人ってことは、また子供でも連れてきたのか?


「遅くなって申し訳ありません。カーナ様」


「よく来てくれた。アロン」


 部屋に入ってきたのは、背の高い青年と小さな女の子だった。だけど女の子の方は、アロンさんの足元に隠れてほとんど見えない。


 てか、アロンさん、ちょーイケメン。金色の髪の毛に金色の瞳。アロンさんが王子様でもいけるよ。これは、女の子の方も期待できるか?


「状況は変わらずか?」


「ええ。なので、1人残しておくのも心配で、娘を連れてきてしまいました。ほら、挨拶しなさい」


 アロンさんが、女の子を前に押し出す。女の子は顔を下に向けまま前に出てきた。


「すいません。人見知りで」


「可愛い」


「え?」


 下を向いたままでもわかる。金色のふわふわした長い髪に白い肌。あの子絶対可愛い。


 俺は、椅子から降りて女の子の前まで言った。


「初めまして。俺は、バリント国第一王子、シュラ・イレーゼルです。君の名前は?」


 俺は、精一杯の笑顔で話しかけた。応えてくれるか。


「は、はじめまして。マリア・ヒュートです。よろしくおねがいします」


 マリアが顔を上げる。アロンさんの血を確実に受け継いだ、美しい顔立ち。まだ幼い言葉づかい。


 この胸の動悸はなんだ? これが恋か? マリアから、目が離せない。


「いい子じゃないか、アロン」


 父上、いい子どころじゃないよ。可愛い子だよ。


「何歳だ?」


「今年5歳です。シュラ様の1つ下ですね」


 年下全然あり。


「アロンさん」


「何ですか?」


「マリアを、俺にください」


 こんな可愛い子をほおっておけるわけがない。アプローチするなら、早い方がいい。俺はもう、奥手だった佐藤紡じゃないんだから。


「まさか、そう来るとは」


 アロンさんが、複雑な表情を浮かべる。確かに王子様といえども、初めて出会ったやつに、大切な娘をやれるわけがないよな。


 でも、俺は本気だ。本気で、マリアに運命を感じた。


「その目は、本気のようですね。そうですね。シュラ様が、マリアを守れる男になったら、あげてもいいですよ」


 マリアのためなら、父上という障壁も怖くない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ