第42話 「友達というより、ライバルに近い存在」
サンが横振りで俺の脇腹を狙う。俺はそれを何とか後ろに跳んで避けた。
「くそっ」
態勢を立て直し、下から上へ剣を突き出す。しかし、それも簡単に飛ばされる。
「うわっ」
やばい。即座に起き上がる。
「はい。また私の勝ち」
目の前に、サンの剣先があった。
「そこまで! サンの勝ちだな」
これで0勝10敗。勝てる気がしない。
「強すぎだろ。サン」
「まあ、一応年上だし。転生前は剣道やってたからな」
なんで、サンはそんなにチートなんだよ。法力も俺と同じくらいあるし。ああ、でも、ネイトは苦手だったのか。
「シュラは修行を始めて数か月だし気にするな。サンは今のお前くらいの年から修行してんだから」
「そうそう。比べるのが間違いってやつだろ。まあ、私ももうすぐいなくなるし。それまでは相手になってやるよ」
「え? いなくなる?」
執事であるリュンの住む場所は、当然城の中にある。サンも一緒に住んでいるはずだ。リュンが執事を止めるという話しも聞かないし。城の外に引っ越すという話しも聞いてない。
「来週から学校に行くんだ。魔法と剣術習うために」
何それ。そんなの。
「いいなあ! 俺も、行きたい!」
「それは、無理じゃないか?」
師匠が気まずそうに言った。
だよな。無理だよな。父上が許してくれるわけないもんな。
「シュラはまず国王様の説得からだな」
「それが一番難問なんだって」
危険なことには根本から反対だからな。
「まあ、第5エリアは遠いしな」
「第5エリアに学校があるのか?」
「うん」
第5エリアって言ったら、ユアンがいるところだ。なおさら、行きたい。
「サン。父上を説得して俺も絶対行く。だから、待っててくれ」
「嫌だ」
え?
まさか、否定の言葉が返ってくるとは思わなかった。
「私はもっと強くなる。シュラを待つ余裕なんてないよ。だから、早く追いついて来い」
そういうことか。上等だ。
「追いつくどころか、すぐに追い越してやるからな」
絶対に、父上を説得してやる。