第41話 「転生にも色々あるんだな」
出産は、十月十日と言うよな。てことは、子供が生まれるのに後数か月かかるのか。
しかし、男の子か女の子かすら分からないってもどかしいものだな。俺の希望としては、絶対弟だけどな。
「師匠。こんにちは」
6歳になって、初めての修行だ。リュンも付いて来ないし、下の子も産まれるし。修行にもやる気が出る。
「あれ。シュラ。赤ちゃん産まれるんだってな。おめでただな」
「サン」
師匠の部屋には、師匠と剣を振っているサンがいた。
そういえば、師匠もサンのこと知ってるんだっけ。似ているからって言ってたもんな。
「なんで、知ってるんだ?」
「お父様に聞いた。おかげで大忙しだってよ」
確かに、リュンは忙しそうだった。だから、俺は1人で師匠の所に来たんだし。
それより、気になることがある。
「サン。ちょっと」
「何だよ」
サンは振る剣を置いて、俺の方まで来る。俺は、師匠に聞こえないように呟いた。
「師匠は、転生のことは?」
「師匠って、シーク兄のこと? もちろん、知ってるよ」
サンはシーク兄って呼んでいるのか。
ってか、そこではない。やっぱり、言っていたのか。どれだけの人に言っているんだ、こいつは。
「ああ。安心しろよ。お父様とシーク兄しか知らないから」
「おい。2人とも。何を話しているんだ? シュラも修行しに来たんだろ?」
「あ、はい。師匠。えっと」
この場合、俺も言った方がいいのかな?
「ごめん、ごめん。シーク兄。シュラが転生のこと知っているのかって」
驚くほど、すんなり言いやがった。
ん? この言い方だと俺が転生してるって、もしかして師匠に言ってあるのか?
「ああ。そうか。シュラ。聞いたよ。お前もサンと一緒で転生しているんだってな。転生について詳しくは知らないけど」
まじで、誰がどこまで知っているのか。サンに詳しく聞く必要があるな。
「それより、早く修行しよーぜ。時間、限られてるんだろ」
それよりって、俺にとっては割と重要なことなんだけどな。
「シュラ。お前、今日はどっち使うんだ?」
俺の剣は2つある。貰った時、一応名前を付けてみた。ブルーとブラックだ。そのまんまだけどな。
どっちの剣にも慣れようということで、比較的同じ確率で使うようにしている。
この前がブルーだったから。
「今日は、ブラックで」
「ほいよ」
師匠が、ブラックを渡してきた。
「え? なんで、シュラは剣が2つもあるの?」
「え? お前はないの?」
剣は心を表すもの。俺の心は転生前と現在の2つあるから2つ剣があると思っていた。だから、てっきり、サンも剣を2つ作ってもらっているものだと。
「だって、心2つあるだろ。転生前と今の」
「何言ってるの? 転生前の心なんて、ないよ。死んでるんだから」
は? 死んでる?
「お前、どうやって転生した?」
「90歳の大往生を遂げたら、いつのまにか生まれ変わってた」
何てことだよ。俺と全然違うじゃないか。
「シュラは、死んでないの?」
「俺は、15歳の時に突然転生させられた」
「何それ」
サンが、笑いを堪えきれずに吹き出す。
笑い事じゃねえよ。転生の仕方にも、色々あるのか。
「ほら、2人とも。転生の話しは俺には分かんねえから、2人の時にしろ。修行、始めるんだろ」
「はぁい」
こうして、修行は3人で行われることになった。