第40話 「俺は親バカではない(カーナ視点)」
俺の息子は、良い子だ。決して親の欲目とかではないと思う。幼い時から大人しいし、わがままもほとんど言わない。世間の子供を知らないが、おそらく年相応ではないと思う。
そんな我が子も、今日6歳を迎えた。
「父上。遊びに行ってきてもいいですか?」
最近なんか、活発になってきた気がする。
いや、活発なのはいいことだ。だけど、危ないことをしていないか心配になる。この前もユアンとどっか言ったかと思うと、すごい仲良くなって帰ってきたし。
「シュラ。サンと話してきてもいいぞ」
「本当ですか?」
ほら、めっちゃ嬉しそうな目を向けてくる。そんなかわいい顔、普段はしないじゃないか。
「サン。行こう!」
ミルの許可が出ると、さっさと行ってしまった。初対面なのに、仲良さそうだなあ。あの社交性は王子としては合格だな。
「リュン」
「はい?」
サンが行ったのに、何故か残っているリュンを見る。
「シュラは最近何をして過ごしているんだ? 危険なことはさせていないよな」
「ええ。部屋や使用人たちと大人しく過ごしておりますよ」
リュンの表情は、全く変わらない。いつでも冷静沈着なこいつの顔色を窺うのはやっぱり無理か。
まったく、優秀すぎる執事で困ったものだ。だからこそ、シュラのことを任せておけるんだが。
「ところで、リュン。お前仕事は終わったのか? なんでまだここにいるんだ?」
「ちょっと、お聞きしたいことがございまして」
リュンは、ミルの方を向く。
「ミル様。シュラ様の誕生日プレゼントですが。今年は、ミル様が用意されると聞いております。どこにあるのですか?」
そういえば、俺も知らないな。
「あら。それなら」
ミルが不気味な笑顔を浮かべる。
何か、嫌な予感がする。これは、あれだな。ミルに何も言わずにニールを雇った時の怒られる直前の顔に似ている。
え? 俺、怒られるの?
「あのね」
ミルは、俺の手を取ってお腹に当てた。
まさか。
「出来ちゃった」
「え? ほんとに?」
俺とリュンの声が重なった。リュンが珍しく驚いている。
「ええ。今、4か月なの」
確かに、シュラにとっては最高のプレゼントだな。