第39話 「誕生日はサプライズだらけだな」
誕生日パーティーと言っても、特別なことはない。毎年やっていることだし。たかが王子様だし。城中の人が集まってパーティーするだけだ。
俺は、父上と母上の傍にいないといけない。暇な日でもある。
「父上。遊びに行ってきてもいいですか?」
「だめよ。せっかくこうやって家族でいられるのに」
父上に聞いたのに母上から返ってきたよ。夕食はいつも一緒に食べてるじゃん。
会場では、俺と父上、母上の座っている所が少し周りより高くなっており、下の段ではみんなが飲み食いしている。
「あ」
サンだ。隣にいるのは母親か?
サンも気付いて手を振ってくる。俺も振り返したいんだが、父上にばれて関係聞かれても困るしな。
と思ってたら、見失ってしまった。
「カーナ様、ミル様、シュラ様」
「リュン。どうした?」
「楽しんでおられる所、失礼いたします。実は、紹介したい者がおりまして」
「ん?」
リュンの後ろから、サンが現れる。
「私の娘のサンです。今年8歳になりました。シュラ様とお年も近いですし。仲良くなれるかなと思いまして」
「サン・メナクスです。国王様、女王様、王子様、よろしくお願いします」
リュン、ナイス! 多分、サンが頼んだんだろうけど。
「その子がお前の子供か。よろしく、サン。シュラ、サンと話ししてきてもいいぞ」
「本当ですか?」
俺は、母上の顔をちらっと見る。
「まあ、お友達となら仕方ないわよね。後で、プレゼントがあるから少ししたら戻ってくるのよ」
「はい!」
俺は、椅子から飛び降りてサンの手を引っ張った。
「サン! 行こう」
誰もいない所を選んで、テラスまで出てくる。
「シュラ。お前、手を振ったの気づいてただろ」
「うん。でも、父上にサンとの関係聞かれても困るから振り返せなかったんだ」
「何で、困るんだ?」
「そりゃ、どこで会ったんだって聞かれても答えられないからな」
「屋根裏って言えばいいじゃないか」
「そんなの、言えるわけないだろ!」
思わず、大声を出してしまった。誰にも聞かれてないよな?
「父上と母上は俺が強くなったり、危険なことするのに反対してるんだ。だから、屋根裏に入ったとか言えない」
「お前、それって、面白くないなあ」
しみじみ言われた。改めて言われなくても分かってるよ。
「ん? あれ? お父様が呼んでる。国王様と一緒にいるから、シュラじゃないの?」
サンが、部屋の中を指さす。リュンが呼んでいるというより、母上が手招きをしていた。
なんだ? さみしくなったのか?
「俺、戻るわ。サン、まだ聞きたいことがある。また話そう」
「ああ」
サンの元を離れて部屋に戻ると、母上が満面の笑みで迎えてきた。父上とリュンは、何故か神妙な顔をしている。
「何ですか?」
なんで、こんな微妙な雰囲気なんだ。
「シュラ。誕生日プレゼントをあげてなかったわよね」
「え、ええ」
「あなたの欲しかったものよ。赤ちゃんができました」
「え? え?」
父上の方を向くと、首を縦に振っていた。どうやら、本当らしい。
「今、4か月よ」
つまり、ケンカしながらも、やることはやってたわけね。