第38話 「まだ起きて1時間くらいだよな」
リュンて今何歳だっけ? 29? まあ、子供いても不思議じゃない歳ではあるよな。でもさ、今まで一言も子供いるなんて話し聞いたことないし。
「シュラ様? 今日は誕生日パーティーですから、早く準備してくださいね」
違う。親子ってことをこのまま終わらせるのは、絶対違う。
「リュン。お前、子供いるなんて一言も言わなかったじゃないか!」
「そりゃ、聞かれてませんから。でも、隠していた訳ではありませんよ。前に話したでしょう。シュラ様に似た子がいると」
ああ。師匠のとこから帰る時に話したやつか。あの時言ってた女の子がサンなわけだ。
「いや、リュンの子供だなんて一言も言ってなかったじゃないか」
「お父様、似てるじゃなかった。一緒だったよ。シュラも転生してた」
「やっぱり、そうか」
ん? 聞き逃せない親子の会話があったんだけど。
「え? なに? リュンも転生のこと知ってるの?」
俺は、リュンとサン、どっちに話しを聞けばいいのか分からなかった。だけど、答えたのは子供の方だった。
「言っちゃった」
そんな、お茶目な言い方しても可愛くねえし。
あ、サンは美少女だよ。中性的な整った顔をしているし。少年と言ってもおかしくないくらい髪の毛は短いけど。
「言っちゃった? じゃあ、リュンは転生しているわけではない?」
「ええ。サンから転生というのは何かは聞いてます。それで、シュラ様の年齢相応でない話し方や考え方といい、法力が無尽蔵であることといい。サンに似ているのでもしかしたらと思ってましたが。まさか、本当に」
やっぱり、俺は年齢相応でないわけね。
「いつから? いつから思ってたんだ?」
「シュラ様が書物庫に忍び込んだ時からですかね」
大分最初じゃねーか。そりゃ、転生したってやつが傍にいるんなら、薄々気づくか。
「それで私もシュラに会いたかったんだけど。まさか屋根裏で会うとは思わなかったけどな」
「あ、それです。シュラ様。サンも。屋根裏に入ってはダメですよ」
「だって、暇だったんだもん」
俺の声にサンの声が重なった。
「はあ。サンはシュラ様より年上なんですから、同じこと言わないでくださいよ」
どうやら、サンもリュンの頭を悩ませる種の1つらしい。
「サンは、何歳なの?」
「私は、この前8歳になった」
8歳っていうと、ユアンと同じ年か。
「シュラは今日、6歳になるんだろう? おめでとう。本当は、パーティーで初めて会う予定だったんだけどな」
「あ、うん。ありがとう」
そういえば今日は誕生日だったな。
「シュラ様。そろそろお時間です。早く準備してくださいね」
誕生日以上に驚くことが多すぎて、すでに俺の頭は悲鳴を上げているのだが。