第34話 「明日6歳になります」
俺は、魔法と剣術の修行をして日々を過ごしていった。相変わらず、父上と母上には内緒だけどな。
剣力は、バラメーターの半分くらいまでは上がった。師匠曰く、5歳にしては上達が早いらしい。
魔法は、然、無、人は『魔法の基礎』に載っている魔法のレベル2までは余裕で使えるようになった。生は、意外に難しいんだ。俺は、新しいものを生み出すのは苦手みたいだ。
学術の方もちゃんとやってるぞ。そりゃ、魔法とか剣術にはやる気は劣るけどさ。
何はともあれ、熱中するものがあると時間の流れが早い。修行を始めて数か月。
俺は明日、この世界で6度目の誕生日を迎える。
「今日は、明日の誕生日パーティーの準備でみんな忙しいですから。シュラ様は部屋で遊んでいてくださいね」
今朝、リュンに言われた言葉だ。俺がいると邪魔らしい。
部屋で遊んでいろって言われてもさ、1人で遊ぶなんて限界あるし。魔法の練習も出来ないし。剣も師匠の部屋だし。面白くもなんもない。
「忙しいのは分かるけど。誰か1人くらい相手してくれてもいいじゃないか」
リュンや師匠じゃないと意味ないけど。それでも、誰かが相手してくれるだけで全然違うと思う。こういう時、兄弟がいればいいのに。
父上と母上から子供が出来たという話しは一向に聞かない。
「ユアンはいいよな。兄がいて」
遠い土地にいる友人の顔を思い出す。
確か、三男って言ってたな。2人も兄がいるなんて。1人くらい分けてくれてもいいのに。
「しっかし、リュンもまだまだだな。俺が1人で大人しくしているわけないだろ」
下を見下ろすと、誰かに指示をしているリュンの姿があった。
「では、あなたはあちらを手伝ってきてください」
声までしっかり聞こえてくる。よし、この位置でオッケーだな。
暇を持て余した俺は現在、屋根裏に忍び込んでリュンの仕事ぶりをチェックしてます。