第22話 「やったことないものは、分かりません」
んで、結局ニールの謎かけに戻るわけだが。
「ニールが、ネイトと子育ては一緒って言ってたけど。どういう意味だ?」
子育てのこの字も知らない俺が、1人で考えていてもらちが明かない。
子育てに向いてなさそうなこいつに聞いても意味ない気もするが。聞かないよりはましだろう。
「子育てと一緒? ああ、なるほど。ニールらしい」
「は?」
リュンの回答は、俺の想像を超えたものだった。
「どういう意味か、分かるのか?」
「ええ。ニールもネイトは苦手でしたね。法力が多いわけではありませんが。でも、シュラ様の面倒を頼まれるようになってから、格段に上手くなりました。おそらく、ネイトの本質を理解したのでしょう」
「ネイトの本質?」
「ネイトは、出したものを留めるのですが、それを同時に行わないといけません」
つまり、2つのことを同時にやるってこと?
「子育ても一緒です。子供っていうのは、突然不可解な行動をしますからね。子供の様々な面を見ながら、行動を共にしないと付いていけません」
意味は分かった。でも、理解はできない。俺に、子育ての経験がないからか?
何はともあれ、コツは分かったわけだ。後は、実践あるのみ。
「ネイト」
俺の言葉に反応して、法力が放出される。
「出すだけでなく、一緒に留める」
出すことを意識しながら、留めるイメージをする。
「うわっ」
破裂しやがった。上手くいかないな。
「どうやら、シュラ様は2つのことを同時にやるのが苦手のようですね」
「悪かったな」
「さて、どうしたものか。あ、アレをしましょうか」
「アレ?」
リュンは、俺の疑問を無視して、いそいそと準備を始めた。
伏せ字って、どうにも嫌な予感しかしないのだが。