第20話 「不思議なガキ共だよな(シーク視点)」
久しぶりにリュン以外の来訪者があったからか、俺の気分はかなり上がっていた。
酒を煽る手が、いつもより進む。こんなところを見られたら、またリュンに怒られるな。
「そう思ってたのに。なんで、また来てんだ?」
「は?」
目の前の人物は、俺が言っている意味が分からず、眉間にしわを寄せる。
リュンが戻ってきたのは、俺が丁度二杯目の酒に行こうとしていた時。リュンの近くに、金色のガキの姿はなかった。
「それより、シュラ様が不思議がってたぞ。何で、ネイトが使えないことが分かったのかと」
「ふっ。本当にネイトが使えないんだな」
適当に聞いただけなのにな。嘘が下手なガキだな。
「やっぱり、カマかけただけなのか」
「まあな。サンに似ていたから、もしかしてと思って。サンも、ネイトは苦手だっただろ?」
「ああ。サンも法力は多いからな。やっぱり、シークも似ていると思ったか」
やっぱり、リュンも似ていると思っていたのか。だから、あんなにシュラに対して甘かったのだろう。
でも。
「でも、俺は、似ているというより、一緒だと思ったけどな」
「一緒? 何が?」
リュンが、怪訝そうに聞いてくる。
サンとシュラは、外見は似ても似つかない。なにより、性別が違う。
「何がって聞かれると困るが。中身がかな」
優秀なくせに頭が固いリュンは、首を横にひねらせた。