第19話 「たまには1人で考えたい」
大人っていうのは、秘密が多すぎる。
師匠だって、リュンだって、多分俺に何かを隠している。
まあ、俺も転生したこと隠してるし。父上や母上に内緒で、修行つけてもらってるし。
そう考えたら俺にも秘密が多いな。
でも、そんな生活してたら、たまには窮屈にもなるってもんじゃん?
「シュラ様。何を考え込んでるんですか? そろそろ寝ないといけませんよ」
ニールは俺をベッドに促す。
寝るときくらい、1人になりたいのに。城にいる以上、俺はやっぱり自由になれない。
「なあ、ニールは魔法って使えるの?」
「ええ。使えますが。って、もしかして、シュラ様。魔法を使いたいなんて言い出すんじゃないでしょうね。駄目ですよ。国王様に危ないことをやらせるなと言われているんですから」
やっぱり、ニールにも父上の息がかかっていたか。
「そ、そんなことない。ただ、魔法を見てみたいなって」
「そういうことでしたら。なら、基本の魔法ですが。ネイト」
馴染みの言葉が発せられる。その言葉と共に、ニールの手の中に光が集まっていく。
その光はすぐに収束し、黄色い玉を作り出した。
黄色ってことは、然が使えないのか。しかし、上手い具合に収束させるな。どうやるんだ、これ。
「どうしました? シュラ様」
やべ。じっと見つめてたら不思議に思われるか。
「あ。す、すごいな! これが魔法か。これ、どうなってるの?」
「あ、触っちゃダメです!」
俺が玉に触った途端、玉は光を失い霧散した。
「私もまだまだ未熟なので。触られると、霧散しちゃうんです。やっと、玉に留めれるよになったので」
やっぱり、留めるのは難しいのか。
「どうやって留めれるようになったの?」
このくらいは許容範囲内だろ。
「あなたのおかげですよ。ネイトを制御するのは、子育てするのと同じようなものですから」
「は?」
訳が分からない。
「さ。もう寝ないといけませんよ。おやすみなさい」
謎は解決されることなく、眠りに落ちることとなった。