18/132
第18話 「俺に似ているやつ?」
「なあ。なんで師匠は、俺がネイト使えないこと分かったんだろうか」
師匠の部屋を出て、来た道を戻る途中、俺は呟くように聞いた。
相手は1人しかいない。
「私に、シークの考えは分かりませんが。おそらく」
「おそらく?」
リュンは、俺の顔を見つめる。
答えを考えあぐねているというより、言ってもいいか悩んでいるみたいだ。
「おそらく、シュラ様と似ている子に重ねたのでしょう。その子も、ネイトが苦手でしたから」
「俺と似ている子?」
俺と似ているやつなんて、いるのか?
自分で言うのもなんだが、俺はそうとう変な子だと思うぞ。
「ええ。その子は女の子ですが。あなたに似てますよ。まあ、いつか会うこともあるでしょう」
「ふーん」
リュンの煮え切らない答えに、それ以上は聞けないと悟った。
「ところで、魔法のことですが。剣術は1週間後から。というわけで、明日からビシバシ鍛えますからね」
リュンが珍しく細めた目に、水路の臭いが相まって、俺は寒気を感じた。