第13話 「手加減は苦手です」
「黄色は然、緑は無、黒は人、青は生、透明は特、が使えないことを表します。ネイトをやってみてください」
「でも、俺それで1回倒れてるんだけど」
書物庫で倒れたことを思い出す。あの時運んでくれたのがリュンなら、知っているはずだ。
「ああ。そうでしたね。シュラ様は出しすぎなんですよ。出したものを、こう留める感じで」
意外に、抽象的だな。まあ、やってみるか。
「ネイト」
俺の手の中に、光が集まっていく。
こっから、留める感じで。
「うわっ」
破裂しやがった。
「もう1回。ネイト」
再度、光が手の中に集まってくる。ここまではいいんだよ。
こっから、留める、留める。
「うおっ」
次は、拡散しやがったよ。
「法力が多いから難しいのは分かりますが、シュラ様、制御がかなり下手ですね」
リュンの言葉が俺の心を突き刺す。
「まだ最初だから、仕方ないだろ! 大体、色を見るのに光を集める必要はあるのか?」
「ちゃんと玉にして留めないと、色は見えませんよ。それにネイトは基本中の基本です。自分の法力をしっかり制御することが出来ないと、他の魔法を制御することもできませんが」
リュンの言うことは、正論だった。
「分かったよ」
「とはいえ、今日はここまでにしておきましょうか。もう昼ですから、魔法の続きは明日で。昼からは、剣術を教えてもらいに行きましょう」
俺のテンションが、一気に上がる。
剣術を教えてもらえるのか。リュンの嫌がっていた人に。
「どんな人だ!」
「シーク・シュナイザー。今は訳あって国専属の刀鍛冶をやってますが、元バリント国軍隊長です」
相変わらず、リュンは嫌そうな顔で言った。