第107話 「お前はすげえよ」
『さあ! 学術の成績発表と行きましょう!』
グランドに帰ったら、学術の競技はすでに終わっていた。
「あ、シュラ! ホセは」
「ああ。命には別状ないって。今は、眠っているけど」
キャメルたちの不安そうな顔が、一気に安心に変わる。
「良かった。ホセくん。シュラくん、ごめんね。私、勝てなかった」
『学術第1位、特Sクラスに10ポイント。第2位、Aクラスに5ポイント。第3位、Dクラスに3ポイント入ります』
ソディーは賢力も低い。勝つことは期待していなかったし。ホセがソディーを学術にしたのも、危ない目に合わせたくなかったからだろう。
「でも、3位じゃないか」
3位ってことは、1回は勝たないと。
「試合は1対1、決勝だけ3人1組で行われて、ソディーは相手がCクラスだったんだけど」
キャメルが、気まずそうにソディーを見る。
Cクラス相手だから、何だって言うんだ? 賢力が高いことには変わりないんじゃないか。
「問題が、シュラくんのことだったの」
キャメルとは対照的に、ソディーは嬉しそうに言う。
「正確に言うと王族のことっていうか」
「シュラくんが絡んだことで、私に分からないことないよ」
それは、喜んでいいのか?
「でも、決勝負けちゃって。全然分からなかった。ごめんね。私が、やるって言ったのに」
「な、なに言ってんだ! 1回勝てたじゃないか。まあ、内容的には複雑なんだが」
俺の問題って、どんな問題だったんだよ。王族って、プライバシーも何もあったもんじゃないな。
しかもそれをソディーが自信満々で答えれたって。俺は、ソディーにどう思われてんの? うぬぼれてもいいのか?
「ソディーはすげえよ! Cクラス相手に勝ったんだ。自信持ってもいい!」
ソディーの欠点は、自分に自信がないことだよな。幼いころから蔑まれてきたならしょうがないけど。少しは、ホセを見習って欲しい。
「そうよ。それに、順位のことを心配してるなら私は勝つに決まってるから心配しなくていいのよ。ノックルは知らないけど」
「俺も、勝つに決まってんだろ」
キャメルとノックルは、お互いをにらみ合う。
まったく。こいつらは。仲が良くなったのかどうなのか、分からないな。
でも、こいつらなりにソディーを励ましてくれてるのは分かる。
「そういうことだ。俺も、絶対に勝つ。カークにも負けなんかしない。だから、お前はよく頑張ったよ」
「うん、うん! ありがとう」
相手がどんなやつだろうが関係あるか。俺は、こいつらのために絶対優勝してやる。
『今日の競技はこれで終了します! 現在第1位、特Sクラス20ポイント。第2位、Dクラス8ポイント。第3位、Aクラス5ポイントです。落ちこぼれのはずのDクラスが2位につけていますが、まだまだ序盤。逆転は全然可能です! みなさん、頑張っていきましょう。では、また明日。お会いしましょう!』