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転生初期からイージーモード・少年期  作者: きと
クラスマッチ編
108/132

第105話 「何がしたかったんだ」

『ちょ、医療班!』


 ちょっと待て。今、何が起こった?


『早く! 医務室に!』


 マイク越しに、焦ったレンの声が響く。


 ホセは担架に乗せられたものの、一つも動かない。血で成された水たまりが白い床を汚している。その舞台で唯一表情が読めないカークは、舞台から静かに下りていった。


「シュラくん! ホセくんが!」


 ソディーの声で、俺の思考が現実に引き戻された気がした。


「あ、ああ。そうだ、ホセ」


 ホセは、すでに医務室に運ばれている。


 行かないと。でも、次の試合が。


『えー。中断してしまってすいません。カークはルール違反として失格。優勝はサックス。準優勝はホセ。第3位はメルナとします。よって、特Sクラスに10ポイント。Dクラスに5ポイント。Bクラスに3ポイント入ります』


 レンの声が響くものの、場は騒然としていて一向に収まらない。


 そりゃそうだ。いくら戦いだと言っても、ルールを破るやつがいるなんて。


『というわけで、次は学術に移ります』


 学術っていうと、ソディーか。どうしようどっちを優先すれば。


「ソディー。次、試合」


「私のことは、いいよ。シュラくんはホセくんの方に行ってあげて」


「え、でも」


 そりゃホセは心配だけど。今、幼馴染があんな目に合って一番不安なのはソディーだろ。


「大丈夫よ。ソディーには私たちがついてるわ」


「ああ。シュラ、お前が行ってきてくれるか?」


「あいつに、負けたことは気にするなと言ってくれ」


「キャメル、ビケル、ノックル」


 いつの間に、こんなに結束して。


「あ、ああ。任せた!」


 こいつらになら、任せれる。


 医務室は、グランドの左隣りの校舎の中にある。ホセはそこにいるだろう。

 生徒の間を通り抜け、グランドの外に出ようとした俺の目の端に映ったのは黒いフードだった。


「カーク!」


 何でこんな生徒の端の方にいるのかは知らないけど、都合がいい。

 こいつだけは許せない。


「お前! 何であんなことを」


 狐面は俺の顔を見ている。


 一体何を考えているんだ。ホセでも読めない心を、俺が読めるわけないけど。


「お前のせいで、ホセが・・・」


「ストップ」


 俺の目の前に、腕が生えてきた。上を向くと、そこにはサックスの顔がある。


「君が怒るのも分かるけど、こいつの相手は僕だよ」


「だけど、俺の友達が」


 決勝がおじゃんになったのも分かるけど、お前は優勝できたんだからいいだろ。


「良くないよ。僕だって本気で戦いたかったんだから」


 こいつ、俺の心をモーションなしで読みやがった。ホセと同じ魔法使ってるんだろうけど、こいつは魔法名を発していない。


「君さ、しゃべれないの?」


 俺とサックスのやり取りを無言で見つめていたカークに目を移す。

 確かに、こいつは今のところ一言も話してない。


「ねえ。君に聞いてるんだよ。カーク君」


 サックスはカークに近づいて行く。こいつも本当に怒っているんだな。


「おっと。そこまでにしてくれねえか」


 サックスとカークの間に、ディックが割り込んだ。


「逃がすかよ! 俺はカークにどういうつもりなのか聞きたいんだ」


「僕も、まあ、このまま逃がすのはしゃくかな」


「お前らの事情なんて知るかよ。決着は、サバイバルで着けようぜ。行くぞ、カーク」


 ディックとカークは、俺たちの気持ちを無視して去って行った。


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