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第六話 森の洞窟

声のした方に走って行くと自然の崖に扉だけが付いたような奇妙な扉が見えた。その前にジャンとピノが立っている。


「この扉の中に入っていったようだが鍵がかかってて開かないな。」


ガチャガチャと扉を開けようとしながらジャンが言った。


「何があったの?」走りよってきた瑠奈を見たジャンは


「ルナもつれてきたのか?」とピノに言った。


「連れてくるのも不安だが何も出来ないのに森の中で一人で待たせるわけにもいかんだろう。」


「確かに、街と違って森は危険だが・・・」ジャンはそう言いかけて


「ルナ、危険だから俺たちのそばを離れるんじゃないぞ!」


「わかった!あれっレックは?私たちよりも先に・・・」瑠奈が言いかけたところでレックが走ってきた。


「ちょっと情報収集だよ、こんなわけわからない扉の中に入るにはそれなりに準備が必要だろ?」


「でもレック鍵がかかってて開かないんだよ、どうするの?」


「まあ、まかせろって、オレこういうの得意なんだ。」


そう言うとレックは腰に付けている道具の中から細い針金のようなものを取り出した。


鍵穴をじっと見つめ道具に細工をし差し込んだ次の瞬間、ピンッと音を立てて鍵が開いた。


「さあ入るぞ」ジャンは扉を慎重にゆっくりと開いた。扉の中は自然の洞窟がそのまま通路になっているようだった。


じめじめした通路に所々灯りがついていて川の流れる音が聞こえる。


「ここはヒュドラ神殿って呼ばれてて中に入れば出てこれねえって噂らしいぜ。」


たいまつで前方を照らしながらレックが小声で言った。


「神殿?そうは見えねえな」ピノは右の人差し指から火を出して照らしている。


「出てこれないってどうするの?」瑠奈は恐ろしくて体が震えた。


「まあ情報源の話を聞いた感じじゃあ、ここの内部を良く知ってるやつみたいだったからさっ」


「それで?」


「内部を知ってるやつが外にいるってことはオレ達も出られるって事さ!」


「そうなの?」レックの話を聞いた瑠奈はピノに聞いた。


「レックの情報はいつも確かだ、それにこんなとこでやられるオレ達じゃあ無いぜ?」


そう言うとピノはニヤッと笑った。


「しっしずかに、何か聞こえる。」


先頭を歩いていたジャンが耳を澄ました。


ピシャーン、ピシャーンと音がして段々こちらに近づいてきた。


「止まった、来るぞ!」ジャンが言ったその時


「グォッッ!」見たこともない化け物がものすごい勢いで襲ってきた。


「キャアアッッッ」驚いた瑠奈はその場に尻もちをついてしまった。


レックの差し出した手にしがみつきやっとの思いで立ち上がった瑠奈だがレックの大丈夫?の問いにうなずくことしか出来なかった。


「レック、ルナを頼む!」ジャンに言われレックはうなずいた。


「あれはゾンビだな、下級魔族だが白魔術師が欠けてる今の状況じゃこっちが不利だぜ!」


レックは舌打ちをした、確かに見ているとジャンの剣がゾンビの体をすり抜けている。


「どうするの?」瑠奈はレックに聞いた。


「剣が全く効かない訳じゃないがあれだと時間がかかりすぎる、体力が無くなると後で困るしな」


「レックなんとか出来ないの?」瑠奈はレックの腕を掴んだままたずねた。


「オレの短剣じゃ話にならねえしあのタイプのゾンビは火を吸い込んで力を増すからピノでもだめだな」


「そんな・・・」瑠奈は恐くて逃げ出したくなったがさっきのレックの言葉を思い出した。


「白魔術師?じゃあ私の持ってる道具でどうにかならないの?」


レックは呆れ顔で


「どうにもなるわけ無いじゃん!道具に対する魔力や魔術どころか使い方も知らねえだろ?」


確かにレックの言うとおりだ。


「でも・・・何か役に立つ物もあるかもよ?」そういうと瑠奈は腰に付いている道具入れをごそどそあさった。


「?何これ。」中にひとつ光って見えるものがある、


手に取るとそれはものすごい勢いで光を放ち杖のように長く伸びた。


瑠奈はあっけにとられその光っている棒を見た、


いや、光ってるのは棒だけではない自分の体全体から光を放っている。


「グゥッ!」うめき声にわれに返った瑠奈は目の前で確実に苦しんでいるゾンビに気がついた。


・・・苦しんでる、この光のせい?


瑠奈は何か不思議な感覚におそわれた。頭が真っ白でよくわからなかったが次の瞬間


「太陽神ヘリオスと月神セレネの名においてルーナが命ず、光のロッドよ今ここに光を解き放て!」


瑠奈がそう唱えその棒を前に突き出した瞬間さっきとは比べ物にならないくらいの光が炸裂した。


目の前のゾンビのほか奥からもうめき声が聞こえやがて静かになった。


「何これ?」瑠奈が気づいた時それは7センチくらいの大きさに戻っていた、


先端に黄色い宝石がきらきら輝く黄金のはんこみたいに見える。


「光のロッドだ」ジャンが言ったすぐ後から


「お前今光のロッドって自分で言ってたじゃん。」とレックに言われ


「えっ私が?」と瑠奈は驚いて聞き返した。


「覚えてないのか?」ピノに言われ瑠奈はうなずいた。


「お前他にも太陽神とかセレネがどうのって言って自分のことルーナって言ってたぜ?」


「全然覚えてない?」ジャンも驚いた様子だった。


「わ・・私、変な感覚がしてそれで・・あたまが真っ白になって・・・」


その瞬間全身に力がみなぎった感覚だけは今でも覚えている、だが・・・


「私、どうしたの?いったいどうして・・・」そう言う瑠奈のロープのすそを引っ張りながら(ピノは小人なので)


「まあ、あれだけのことがあったのに思い出せ無いんだ、考えてもしょうがないぜ?」


と声をかけた。


「そうだな、先へ進もうか。」ジャンは前方にたいまつを向け歩き出した。


「おいジャン」レックの肩の上に乗りながらピノが耳打ちした。


「さっきの事だが、どう思う?」


「どう思うって・・・」


「あの呪文は通常ロッドを使うときに唱える言葉じゃねえし、あれは相当な力だ、上級魔術師の中でもあれほどの力を使えるやつがいるかどうか。」


「さっきのあれってすげえのか?やっぱブランディのおっさんが言うように魔力が強ええって事か?」


2人の話を聞いていたレックが割り込んできた。


「ああ、力だけはすごい、だが唱えた呪文も聞いたことねえしあれが魔力かどうか判断できねえな」


「だがあれほどの力だやはりルナが我々のところに来たのには理由があるようだな。」


ジャンの言葉にピノはうなずいた。


「さっきのことといいペンダントの話といいルナには何か特別なもんがありそうだ。」ピノはつぶやいた。


「しかしここまできて怪物に全く出くわさないなんてお前よっぽどすげえ力ぶっ放したなルーナ。」


レックはニヤニヤしながら瑠奈に話しかけた。


「知らないよ、私本当に何もわかってないんだから!」レックの言い方になんとなく瑠奈はカチンときた。


そうこうしているうちに少し大きな広場に出た。その先には9本の細い道がつながってる。


レックの肩からぴょんと飛び降りピノは指先の炎で道の方を照らした。


「おい、こりゃどの道に進みゃあ良いんだ?」


「ここは・・・真ん中の道だぜ!」レックが自信たっぷりに答えた。


「どうしてわかるの?」聞いた瑠奈を見て笑いながら


「オレの情報収集はカンペキだぜ?」レックはそう言いながら前へ進み


「この道だ、間違いねえ」と真ん中の道を照らした。


「さあ、ここからが本番だ、気を引き締めていくぞ。」ジャンは3人を顔を見渡した。


みんなに緊張が走る、瑠奈は前方を見つめ息を呑んだ。


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