第二話 始まりの場所
目が覚めるとそこは見たことも無い世界だった、いや微妙に見覚えのある、そうださっきのメールの風景だ。
あわてて飛び起きた瑠奈の目の前には3人の人間がみなこちらをじっと見ている、
怖くなって後ずさりしたところで一人の男性が声をかけた。
「大丈夫?」
その声には確かに聞き覚えがあった、そうさっき携帯の中から聞こえた声だ、
「あなたは誰?ここは何処なの?なぜ私はこんな所に・・・」
そう言いかけて服の胸の辺りを掴んだ瞬間違和感に気づいた、さっきまで着ていた服と感触が違う。
瑠奈はそう思い目をやるとそこにはパジャマではなくゲームの白魔導士のような姿の自分があった。
「何?これどうなってるの?」
そう叫ぶ瑠奈を不思議そうに見つめ男はこう聞いた
「どうした白き魔女よ?何かあったのか?」
「私自分の部屋でメール開いただけなのに、何でこんなところにいるの?あなたはいったい誰なの?」
頭が混乱してわけがわからない、今の状況を把握できないまま瑠奈はじっと男を見つめた。
「白き魔女よ、ここはガランディウス、私はエリファンテンのジャンだ。」
さらにジャンという男は続けた、
「あなたは伝説の魔女マリィーが闇の魔王エドゥガーに捕らえられる前にマリィーの魔力によりここにつかわされた、
私たちと共にこの世界を守るために」
瑠奈はますます混乱した、魔女だの魔王だのこの21世紀に、
だいだい何故自分がこのわけもわからない世界を見知らぬ人間と守らねばならないのか。
「この世界に何があってるのか知らないけど私には関係ないよ、
マリィーの魔法だか何だか知らないけど私をこの世界に引き込んだのはあなたよね?私をものと世界に帰してよ!」
「元の世界とは何のことだ?白き魔女は東の国で生まれると聞く、あなたはそこからきたのではないのか?」
「こんなとこ知らないよ私は日本から来たのよ、日本に帰して!」
男たちは顔を見合わせた、その中の若い・・・というよりまだ幼い男が口を開いた。
「白き魔女、ここには日本という国は無いよ、よその世界から来たみたいだけど・・・
あなたをここに呼んだマリィーは闇の魔王に捕まってしまったからどうすることも出来ないよ。」
瑠奈はその子供の言っている意味が全くわからなかった、
「それ、どういうことなの?」
子供はジャンの顔を見つめジャンが瑠奈の問いに答えた。
「つまりあなたに魔法をかけたマリィーがいなければあなたを元の場所へ戻すことは出来ないんだ。」
瑠奈は目の前が真っ白になった、
「じゃあ、私はどうなるの?」
ジャンが答える
「捕らわれたマリィーを助け出し、元の世界へ戻す呪文をかけてもらえば帰れると思うが・・・」
「マリィーを助けるってどうするの?私どうすればいいの?どうすれば日本へ帰れるの?」
瑠奈は早く返事が聞きたくて急き立てるように一気にまくしたてた、
その時子供がこう言い放った。
「答えは簡単さ!僕らと一緒に旅をしてエドゥガーの城に行けばいいんだよ!」
やったエドゥガーの城とやらに行ってマリィーって魔女さえ助ければ帰れるんだ!!
「それで、そこはすぐ近くなの?行ってすぐ助けられる?」
子供は無邪気な笑顔でこう答えた、
「それがさー、今までマリィーも入れた4人で探してたけど見つからないんだよねー。
マリィーの魔法が無いとなるといつになるか・・・」
瑠奈の頭にとてつもなく嫌な予感が走った。
「場所がわかってないの?どれくらい探してるの?」
子供が答える
「まだ3年くらいだよ!まあ見つかっても魔王相手に戦って助
けるの大変だけどね」
瑠奈は頭を鈍器で殴られたような衝撃と共に気が遠くなった・・・。