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共通ルート「結果」

視点を戻そう。


竜を見た。

大の大人2人分はありそうな体。

4本の足に2本の翼。

口から炎の混じった息をはく。

「さあ!絶望しろ!」

特点とは本当に何でもアリなのだ。

僕は改めてそう思った。

「私の想像よりも驚いていないようだな」

明累の声からは軽々しさが消え、

重々しく、禍々しいものへと変わっていた。

「そりゃあ、特点を持ってから不思議なことはそこそこ

目撃してきたつもりですからね。これぐらいのことで

そんな目に見えて分かる程驚いたりしませんよ」

じゃあ、見た目で分からなくても実は驚いているのかって?

まあ、少しは。

「成程な、しかし、そっちの子はどうだろうな」

「・・・」

そう、問題は紫音ちゃんの方だ。

彼女は本来特点による非日常的な出来事には何1つ関わりのない

いたって普通の女の子だ。

それが今日、

人が撃たれる様を見た。

人が化け物に変わる様を見た。

平気でいられるはずがない。

彼女の心は確実に何らかの異常を起こす。

「あ・・・あ・・・」

紫音ちゃんが目を大きく開けて、顔に手を当て、小さく声を出す。

そら、異常が始まった。

だが、

「なぜだ・・・なぜなんだ・・・」

異常を起こしていたのは紫音ちゃんだけではなかった。

「なぜだ!なぜ今になってまだ未来が見えない!?

結果が見えない!?仮定ではない!きちんとした過程だ!

ここまで過程を出してなぜ結果にノイズが走る!?

くそ!くそ!!くそ!!!」

明累も様子がおかしい。

自分の理解のできない事態に対する苛立ちと恐怖、

そのようなものを抱えているかの様だ。

明累が未来を覗けない。

考えられるとすれば、

これから、この場にいる全員が、何も見えない出来事が起こるということ。


「あああああああああああああああああああああああああああああああ!」


不意に、紫音ちゃんが叫んだ。

たぶん、恐怖心。

心が、あらゆる恐怖に負けたのだろう。

だが、それだけでは終わらなかった。

紫音ちゃんの異常は、まだ、終わらなかった。

不意に、紫音ちゃんの体が光に包まれる。

空に向かって叫ぶ紫音ちゃんの体を中心に光が渦を巻く。

あまりの眩しさと、渦の勢いに、僕は思わず目を瞑った。


目を開けた時、その場に倒れている紫音ちゃんと、

首が繋がっていない竜の死体があった。

明累が未来を覗けなかった理由がなんとなく分かった。

「誰も何が起きたか見ていなかったのか、それとも

自分の死は予知できなかったのか・・・どっちかかな」

しかしながら一体何が起きたのか、それが分からない。


「やあ、ヒガサ君」

後ろに、サイカがいた。

「サイカ、何が起きたんだ?」

サイカに聞いてみる。

「簡単な話だよ」

サイカは答えた。

「その子が特点持ちだった。それだけの話だよ」

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