ルートA「単独行動」
「さて、どうしようか?」
昼食を終えて1人で考えてみる。
明累の言葉によれば、明後日死ぬのは僕のクラスメイトで、
腰くらいまでの黒髪で、少し強気な顔の、女の子。
・・・。
黒髪、長髪・・・。
文庫本が似合いそうな子だな、夕方の教室で静かに読んでそうな・・・
おっと、いかんいかん、脱線しそうだ。
しかし、その条件にあてはまるのは・・・
「紫音ちゃんかな?」
一道紫音。腰までの長さの髪となると
僕のクラスには紫音ちゃんしかいない。
他にも髪の長い子がいないってワケじゃないけど、
皆結んだりして腰までの長さにはならないもんなあ。
とりあえず死ぬのは紫音ちゃんだと仮定して、いや、確定でも
よさそうだけどまずは仮定して・・・。
だからどうする?
会って話をしてみる?
とりあえずまあ、会えば何か分かるかもだけど、
うーん・・・。
とりあえず僕は携帯電話で紫音ちゃんに電話をかけてみることにした。
え?スマートフォンじゃないのかって?
いや、まあ、スマホに変えてもいいんだけど、まだケータイが
使えるのにスマホに変えるのもなんかなあ・・・。
「・・・はい、一道です」
「もしもし、同じクラスの火差といいますけど」
出たのは紫音ちゃんの母親だった。
・・・うん、実は知らないんだよね、紫音ちゃんの携帯番号。
「・・・ええ、紫音ですね?今出します。
・・・しおーん!お友達から電話よー!」
良く響く声だなあ。
「・・・はい」
小さい声だな、母親と正反対だ。
「あ、もしもし紫音ちゃん?妃傘だけど」
「火差君?ウチに電話なんて珍しいね」
「うん、突然なんだけど、明日ヒマかい?」
「明日?うん・・・暇だけど?」
「デートしない?」
「デート?」
「そう、デート」
「・・・」
「だめかな?」
「まあ、いいけど・・・」
「ありがとう。明日の午前10時に赤羽東公園に集合でいいかな?」
「分かった・・・」
「うん、それじゃ」
電話を切った。
携帯番号どころかメールアドレスすら知らない間柄だったから
かなり不安だったけど、どうにかデートの約束を
取りつけることに成功した。
さて、後は明日どうするかだ。
「実は君は明日死んでしまうんだ」
正直に話したところで、信じてもらえないだろう。
それどころか白い目で見られてしまう。
「初めて見た時からすきでした!僕と付き合って下さい!」
あれ?また脱線してないか?僕?
まあいいや、明日考えよう。




