共通ルート「エピローグ」
いろいろな出来事が起こった。
未来視、狙撃、変身、発芽、死。
「ヒガサ君、君も不用心だね。私が人払いをしておかなければ
あんなファンタジーな世界を不特定多数の人が見るところだったよ?」
「なんかそれ、後付けでみたいなセリフに聞こえるよ」
「仮に後付けだとしてもそれでいいんだよ。
大事なのは、そこじゃない」
「それで?紫音ちゃんが特点持ちっていうのは?」
そう、今はその話だね。と、サイカは言って、
「その子は特点を持った人間だった。
だけど今の今までそのチカラは目覚めずにいた。
だからこういった非科学的で非常識な非日常とは無縁で
いられたのだろうね。だけど、これからはそうはいかないよ?
君は目を閉じていたから分からなかっただろうけど、
竜を殺したのは彼女の発した光の渦だ。
彼女は受け入れなきゃいけないよ?自分の知らなかった日常を。
でないと、彼女は自分の異常性に耐えきれずに
壊れてしまうかもしれないからね。
まあ、そこはヒガサ君が頑張って受け入れさせてあげたまえ」
と続けた。
「それともう1つ」
「まだ何かあるの?」
「彼女の特点は目覚めたには目覚めたけど、あれじゃあ
目覚めたというより暴発したって言い方の方が正しいよ。
彼女に何かしらの負担がかかっているかもしれないから
気を付けて」
「は?それって・・・」
全部言い終わる前に、サイカの姿は消えていた。
あれから、気が付いた紫音ちゃんをなだめるためにいろいろ
頑張った。泣きじゃくる紫音ちゃんに必死に言い聞かせた。
抱きしめたりもした。とにかく落ち着かせる必要があった。
そして、特点の暴発の代償として、彼女の脚は動かなくなった。
サイカに連絡を入れたら「一時的なものだろう」と言っていたが、
その一時的がいつまで続くか分からない。
紫音ちゃんを家まで送った次の日、紫音ちゃんの母親から
電話があった。
「ウチの紫音ね、病院でも理由が分からないって・・・」
それはそうだろう。特点が関係してる以上、怪我ならともかく
体に損傷がないのに動かない脚を病院で治すことは不可能だ。
「もし、学校が始まっても脚が動かなかったら、火差君、
紫音のこと、頼まれてくれないかしら?
あの子、友達作りが下手だからとても喜んでたのよ、
『友達ができた』って」
「分かりました。僕で良ければ」
夏休みもそろそろ終わる。
そんなある日のこと、僕は車椅子の紫音ちゃんを連れて
買い物に来ていた。
「火差君」
「ん?」
「ありがとうね」
「お礼を言われるようなことは何もしてないよ」
「私には、お礼を言うだけの価値のあることだから」
「・・・そっか」
経過はどうであれ、これが結果。