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どこどこまゆげ

作者: 高木 喬 

ぼくのまゆげ、めのうえにあるよ。

おとうさんのまゆげは、ふとくてかっこいいね。

おかあさんのまゆげは、ほそくてかわいいな。


でもね、あれあれ?電車にのると、おさんぽすると、まゆげがない人もいるね!

なくしちゃったのかな?おとしちゃったのかな?

きっと、こまっているんだろうな。


よーし、ぼくがさがしてあげる!


まゆげがそらに、とばないように虫あみをもって、つかまえたまゆげをいれる虫かごをもって、

まゆげがつちに、もぐってるかもしれないから、すこっぷももって、

さあさあ、いくぞ!えいえいおー!


さっそくみつけた木の上に。うごうごうご


「まゆげ、つかまーえた!」

「ひゃあ!やめてやめて!まゆげじゃないよ!けむしだよ!」


おどろいたけむしは、木からぷらーんと空中ブランコ。ぷらぷら


「なーんだ。まゆげじゃないのか。けむしさん、まゆげ、しらない?」

「まゆげなら、さっき、くさむらに、はしっていったよ」

「ありがとうけむしさん!」


くさむらごそごそ、みつからない。

「まゆげどこどこ?」


いわのしたからかさこそこそ。まゆげかな?


「まゆげ、みーつけた!」

「うっ明るい!やめてやめて、まゆげじゃないよ!げじげじだよ!」


くらいところがすきなげじげじは、まぶしそう。光きらきら、ちくちくちく


「なーんだ。まゆげじゃないのか。げじげじさん、まゆげ、しらない?」

「まゆげなら、お日様ぽかぽか、風にゆらゆら、はらっぱでゆれているよ」

「ありがとうげじげじさん!」


はらっぱとことこ、まゆげはどこどこ?


風にゆられてたくさんのまゆげ!今度こそ!今度こそ!


「まゆげ、はっけーん!」

「うふふ、うふふ。くすぐったい!わたしの顔をさわるのだーれ?」

「ぼくだよ。ぼくだよ。まゆげをさがしてたの」

「うふふ、わたしはまゆげじゃないわ。わたしはねこじゃらし。」


ねこじゃらしは、体をゆらして笑います。うふふ、うふふ。


「ねこじゃらしさん、ごめんなさい。ねこじゃらしさんは、まゆげ、しらない?」

「まゆげなら、風がびゅうびゅう、ぴゅうぴゅう、ふいてふいて、おそらに飛んでいきましたよ」

「ありがとう、ねこじゃらしさん!」


おそらはひろいな。きょろきょろきょろ。まゆげ、どこどこ?


あっ、まゆげかな?でも虫あみはとどかない。そーれ、おおきな声で、


「まゆげやーい!おりてこーい!」

「そらにはまゆげはないよー!ぼくたち、くもしかいないよー!」


くもたちは、もくもくと、楽しそうにおよいでる。すいすいい、ふわふわわ。


「くもさーん、まーゆーげー、そこからみえないかーい?」

「うーん、みえないなあー!」

「そうかー!ありがとうー!」


そらはだんだんまっかになって、あれあれ、あれは、一番星。

ぼくの虫かごの中には、まだひとつもまゆげはとれてない。

「まゆげ、どこにいったのかな」

「とおくのおやまに、とんでいったのかな」

「それともおかおをあらったときに、みずといっしょにながれていったのかな」


とぼとぼと歩いていると、

「あれ、ぼくくん、おかえりなさい」

顔をあげると、近所のおねえさんだ。


「おねえさんも、まゆげ、なくしたの?」

「まゆげ?ちゃーんと、もってるよ」

「でも、おねえさんのまゆげ、なくしたから、だから、くれよんで、かいたでしょ?」

「ぼくね、たくさんさがしたの。でも、どこにもなくって、それで、、、」


とってもとってもかなしくなって、おねえさんがぼやけてきちゃった。ぐちゃぐちゃ


まゆげをなくしたおねえさんは、あっはっはとわらって

「ぼくにだけ、ひみつでおしえてあげるね。だれにもナイショ。まもれる?」


「ぼく、だれにもいわないよ」


おねえさんは、えへん、とせきをして、


「おとなになるとね、まゆげは、たびにでます。」

「どこにいくの?いつかえってくるの?」

「それは、まゆげにしかわからないの。まゆげは、すてきなまゆげになったら、かえってくるよ」


「ぼくのまゆげも、いつかたびにでるの?」


「でるかもしれないし、でないかもしれない。」


おねえさんはすこし、ほほえんで、

「かみのけも、たびにでるって、しってた」

「しらない!ぼくのかみのけも、いなくなっちゃうの?」

「いなくなるかもしれないし、ずっとぼくと、いっしょかもしれない」



「ぼくも、おとなになると、わかるよ」








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