終章 『ずるいよな・・・』
・・・・・・・
「・・・って、ここで終わりか・・・?
俺が知りたいのは、この後の事なんだよ・・・!!」
このホームページに書かれていた話は、ここで途切れていた為、続きを読む事は出来なかった・・・
「・・・くそっ!!・・・・・・!?」
俺が、携帯を怒りに任せて投げようとした時、ふいに電話を告げる着信音が部屋の中に鳴り響いた・・・
俺は、振り上げた手を下ろし、携帯の画面を見てみると・・・
着信・・・藤堂海と表示されていた。
俺は、はやる気持ちを抑えながら、受話ボタンを押し・・・携帯を耳に持って行った。
「も、もしもし・・・?海か・・・?」
『あぁ・・・今、お前の家の前にいる・・・・・・
・・・玄関のドアあけてくれないか・・・?』
「・・・あぁ。今、行く・・・」
俺は、携帯を持ったまま玄関に向かおうとしたのだが・・・
おかしな事に気付いた…
今、玄関には鍵は掛かっていない・・・
それに、なんでチャイムじゃなくて電話なんだ・・・?
(・・・・・・)
「・・・・・・そういえば玄関の鍵開いてるから勝手に入ってきて良いぞ・・・?」
『・・・・・・出来無い・・・・・・』
「・・・出来無い?」
『・・・・・・あぁ・・・両足が無いからな・・・・・・・・・』
俺は携帯を耳に押し当てたまま・・・
部屋の中に一人立ち尽くしてしまった・・・
(・・今、海は何を言ったんだ・・・・・・?)
俺の、頭は「さっきの海の言葉」を理解しようとはしない・・・
「・・・カ・・チャ・・・」
「・・・っ!?」
俺が、部屋で立ち尽くしていると・・・
ふいに玄関のドアが開く音が聞こえてきた・・・
『・・・今から・・・
そっちに行くよ・・・・・・』
ドアが開く音がした後、すぐに・・・
また、携帯から声が聞こえてきた・・・・・・
ズル・・・ズル・・・・・・
ズル・・・ズル・・・・・・
『・・・なぁ・・・・・・
やっぱり・・・ずるいよな・・・・・・』
今、俺は声を出す事が出来ない程・・・
頭の中を「ある感情」に支配されている・・・
「恐怖」
言葉にすれば、たった2つの文字・・・
しかし、それは時として人間の全ての機能を停止させる・・・
(何も、考えれない・・・)
(考える事が出来ない・・・)
(いや・・・何も考えたくないんだ・・・)
ズル・・・ズル・・・・・・
段々、「何か」が這ってくる音が大きくなってくる・・・
(・・・大きくなってるんじゃない・・・・・)
(俺の部屋に近づいてきてるんだ・・・)
『・・・ずるいよな・・・・・・
俺達だけ・・・・・・こんな目にあってるなんてさ・・・・・・』
相変わらず携帯からは、声が聞こえてくる・・・
『・・・・・・・お前だけ・・・助かってるなんて・・・・・・
ずるいよな!!』
恐怖がピークに達した俺は・・・
その場に倒れるように意識を失ってしまった・・・
「・・・・・・う、うぅ・・・あれっ・・・?ここは・・・」
俺が目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。
他に、患者がいない所を見ると個室らしい・・・
「コンコン・・・」
俺がこの状況に戸惑っていると、ふいにドアがノックされた。
「あ、はい。どうぞ・・・」
「・・・・・・・カ・・チャ・・・・・・・」
ドアがゆっくりと開けられる・・・・・・
「っ!?」
『・・・・・・ずるいよな・・・・・・・・お前だけ・・・助かるなんてさ・・・
お前も・・・・・・・
・・・連れて行ってやるよ!!!!!!』
「・・・あれっ?仁戸田さん?」
「おい。どうしたんだ?」
「あっ。先生?
そろそろ、検診の時間だったんで病室に来たんですけど・・・
仁戸田さんがいなくなってるんです・・・」
・・・・・・・・・・
『・・・・・・・ふふふ・・・
・・・そこの、君も・・・ずるいよね・・・・・・?』
『・・・・見てるだけなんて・・・ずるいよね・・・・・・
・・・・・・今から、君の所にも行くよ・・・・・・』
ども♪
作者のセラ。です♪
今回のは、あえて「謎」の部分を多く残して完結させました。
って言うのも・・・
今回のは、途中で仁戸田の目線になったんですけど。
次の話は、番外編みたいな物で・・・
今回の話を全部「海」目線で書いてみようと思ってまして・・・
その、話の中で今回分からなかった部分を解き明かして行こうかな。なんて考えてます(笑)
良かったら、そっちの方も読んで頂けると、作者が泣き叫んで喜びます♪(笑)→危?(苦笑