第2章 不安・・・
(なんだ・・・この音・・・)
俺は、海の部屋のドアに耳を当て・・・
その音の正体を探ろうとしたのだが・・・それは、合い鍵を持って来た大家さんによって中断された・・・
「・・・それじゃ、開けるよ。」
そう言って、大家さんは鍵を外し・・・海の部屋のドアを開けた・・・
しかし、そこには海の姿は無く・・・テレビや机に埃が溜まっていて、この部屋に居住者がしばらくいなかった事を表しているだけだった・・・
ここで、俺はさっき聞こえていた音が何処から聞こえてきたのか調べようとしたのだが・・・
その音は、俺達がこの部屋に入って来た瞬間に途切れてしまっていた為・・・結局何だったのか分からなかった・・・
「う〜ん・・・この様子だと、しばらく帰って来てないみたいだね」
「・・・そうですね・・・すいません。ご迷惑かけました・・・それじゃあ、俺帰りますんで・・・」
そう言うと俺は、アパートを後にした・・・
(・・・家にも帰ってないし・・・電話も繋がらない・・・・・・もしかしたら、何かの事件に巻き込まれてたり・・・)
俺は、自分の家に帰ってからそんな事を考えていたが・・・ベッドで寝ながら考えてたせいか、いつの間にか寝てしまい・・・
目が覚めた時には、もう朝になっていた。
「ふぁぁ〜・・・・ぁ・・・」
俺は、まだ眠たい体を無理やり起こし、高校に向かう事にした・・・
俺は、教室に入るとすぐに海の姿を探したが、海がいる訳も無く・・・自分の席に、顔を突っ伏して座っていると、担任が入って来たのか出席確認を始めていた。
「う〜ん・・・今日も、藤堂と井上は休みか・・・誰か、あいつらから休みの理由聞いてる奴いないか?」
(・・・藤堂と・・・「井上」・・・?)
俺は、伏せていた顔を上げ、教室の中を見回してみた・・・
すると、確かに海の場所意外にも空いている席が1つある・・・
そこで、俺はある事に気付いた・・・
いや、今まで気付かなかったのがおかしかったのかもしれない・・・
海が俺の所に肝試しを誘いに来た、あの時・・・
海の横に・・・「誰が居た?」
そう・・・海の横には確かに井上が居た・・・
おそらく、井上も肝試しに行ったんだろう・・・
俺は、今まで分からなかった疑問が解け始めるのを感じるのと同時に、不安を覚えた・・・
海と井上は、あの日肝試しに行った廃病院で「何か」あったんだ・・・だから、一緒に行った井上も学校に来てない・・・
俺は、その「何か」が何なのか分からないが大体の予想は付く・・・
海達は無事では無い・・・いや。もしかしたらもう・・・
俺が、そんな最悪の状況を頭の中にえがいていると・・・
ふいに、携帯が震え始めた・・・
俺は、担任に見つからないようにポケットから携帯を取り出し、画面を見てみると・・・
「メール受信」
「藤堂 海」
と表示されていた・・・