第1章 音信不通・・・
・・・・・・・・・
『・・・お掛けになった電話番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が・・・』
「・・・あーっ!!くそっ!!海の奴何やってんだよ!!」
俺の名前は、仁戸田 雅彦。
A高校に通っている17歳の学生だ。
俺と、藤堂 海は高校の同級生で、普段から良く遊んでる友人なのだが・・・
その、「藤堂 海」に1,2ヶ月程前から全く連絡が付かなくなっていた。
俺が最後に海と話したのは・・・
夏休みが始まる前日・・・終業式の日の事だ・・・
その、内容は・・・
『山の奥にある、廃病院に肝試しに行くから、一緒に来ないか?』
と言う物だった・・・
しかし、俺はその日用事があった為一緒に行く事は出来無かった。
そして、その次の日から海と連絡が取れなくなった・・・
(・・・もう1回、海のアパートに行ってみるか)
今は、夏休みも終わり普通に授業が始まっているのだが、今日は日曜という事だったので、俺は海の住んでいるアパートに行く事にした。
ちなみに、海はアパートで一人暮らしをしている。
俺は、1,2週間前にも海のアパートに足を運んだりしてたのだが・・・
結局、海の姿を見る事は出来なかった・・・
「ピンポーン・・・」
チャイムを鳴らしてみるが、その後に残るのは静寂だけ・・・
俺は、無駄だと分かっていながらもドアに手を掛けノブを回してみるが、鍵が掛かっているようでドアは開かない・・・
その時、ふいに横から誰かに話し掛けられた・・・
「あんた・・・藤堂さんの知り合いかい?」
俺が横に視線をずらすと、そこには60代前後に見えるおじいさんが立って、こちらを不審そうに見ていた・・・
「あ・・・はい。俺、藤堂の友達の仁戸田って言います。
随分前から藤堂と連絡が付かないんで、心配になって来てみたんですけど・・・いないみたいで・・・」
「うーん・・・藤堂さんなんだけどね〜・・・
7,8月分の家賃滞納してて、こっちも困ってるんだよ・・・」
どうやらこのおじいさんは、このアパートの大家さんのようだ。
この大家さんの言い方だと、やっぱりアパートにもずっと帰って来ていないようだ・・・
「あの・・・もし良かったら、合い鍵で藤堂の部屋ちょっと開けて貰えないですか?
何ヶ月も連絡取れなくて、さすがに俺も心配なんで・・・」
俺がそう言うと、大家さんは一瞬困った様な顔をしたが、『大家さんも一緒に部屋に入る』と言う事を条件にして了承して貰えた。
大家さんが、鍵を取って来る間俺は海のアパートの前で一人佇んでいたのだが・・・
何か、妙な音が聞こえてきた・・・
「・・・・・・・・・・・」
その音が何か聞き取る事は出来ないが、その音が出て来た場所は分かった・・・
海の部屋からだ・・・