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D級 vs F級 vs H級 「人類最後の晩餐」


 西暦2145年。

 地下世界最大の食闘イベントが開催されようとしていた。

 その名も――

『グランド・ジャンク・ロワイヤル』

 D級。

 F級。

 H級。

 三つの闇グルメ界から、最悪の王たちが集う。

 会場は札幌地下百層。

 巨大円形闘技場。

 天井から吊るされたネオン看板には、

「油こそ正義」

「糖質無罪」

「賞味期限は目安」

 など終わった標語が並んでいる。

 観客席は超満員。

 誰もが、

ポテチ

カップ焼きそば

コンビニチキン

半額弁当

を貪っていた。

「始まるぞォ!!」

「今日だけは胃薬も効かねぇ!!」

「伝説が生まれる!!」

 リング中央。

 司会者が叫ぶ。

「まずはァ!!

 D級代表!!」

 スポットライト。

 ジャージ姿の少年。

 半額シール付き焼きそばパンを片手に歩く。

「炭水化物の申し子!!

 半額戦士――

 灰崎ポン太ァァァ!!」

「うおおおお!!」

 ポン太は頭をかく。

「なんでこんな大事になってんだよ……」

「続いてF級代表!!」

 照明が赤く染まる。

 ゆっくり現れるのは、

 ボロいパーカー姿の少年。

 片手には湿気たポテチ。

「生存本能の怪物!!

 腐野フミヤァァァ!!」

「うぇぇぇぇぇ!!」

 フミヤは静かに呟く。

「腹減った……」

「そして最後!!

 H級代表!!」

 爆炎。

 甘ったるい香り。

 チーズが焼ける音。

 現れたのは黒パーカーの青年。

 片手にコンビニチキン。

 もう片方にはマヨネーズ。

「理性崩壊の背徳王!!

 灰村ハジメェェェ!!」

「ギャアアアア!!」

 ハジメは笑う。

「今日は合法的に太れるってわけか」

 三人が向かい合う。

 空気が震える。

 ポン太が口を開く。

「……お前ら、ヤバい飯の匂いするな」

 フミヤが湿気たポテチを食う。

「お前もな」

 ハジメがマヨを吸う。

「仲良くできそうにねぇな」

 司会者が叫ぶ。

「第一回戦ルール発表!!」

 ドゴォン!!

「テーマは――

 《最悪の深夜飯》!!」

 観客が沸騰する。

「きたァァァ!!」

「夜中に食ったら終わるやつ!!」

「背徳祭りだ!!」

 三人の調理台に食材が並ぶ。

ポン太(D級)

焼きそばパン

カップ麺

マヨ

ベビースター

「やっぱ炭水化物だろ」

フミヤ(F級)

半額白米

湿気たポテチ

焼き鳥缶

謎の粉

「生きるための飯だ」

「その粉なんだよ」

「知らん」

「怖ぇよ」

ハジメ(H級)

コンビニチキン

チーズ

バター

メープルシロップ

マヨ

「カロリーは裏切らねぇ」

「お前の料理だけ光って見えるんだけど」

「油だ」

 調理開始。

 ジュワァァァ!!

 ドロドロ!!

 バキバキ!!

 会場が異臭と幸福感に包まれる。

「うおおおお!!」

「胃が痛ぇ!!」

「でも食いてぇ!!」

 最初に完成したのはポン太。

《炭水化物アルティメット》

 焼きそばパンに焼きそばを挟み、さらに砕いたカップ麺をぶち込む。

「バカだろ!!」

「でも絶対うまい!!」

 次はフミヤ。

《終末生存丼》

 白米の上に焼き鳥缶。

 湿気たポテチ。

 最後に謎の粉。

「だからその粉なんだよ!!」

「拾った」

「最悪だァ!!」

 最後。

 ハジメが静かに皿を置く。

 トロトロのチーズ。

 照る油。

 甘い匂い。

《深夜三時の神》

「神になってる!!」

 コンビニチキンに、

チーズ

マヨ

バター

メープル

を重ね、さらにポテチを刺していた。

 観客席が震える。

「見てるだけで太る!!」

「寿命が削れる!!」

 審判が叫ぶ。

「実食開始ィ!!」

 ポン太、食う。

「うめぇ!!

 脳が“炭水化物”って叫んでる!!」

 フミヤ、食う。

「……生きてる感じがする」

「感想が終末なんだよ」

 ハジメ、食う。

「ははっ……

 これだよ……」

 目が完全にキマる。

「人類はなァ!!

 身体に悪いものを求めるんだよ!!」

 ドン!!

 会場が揺れる。

 観客全員が立ち上がる。

「うおおおお!!」

「食いてぇぇぇ!!」

「もうダメだァ!!」

 だがその瞬間。

 会場全体の照明が消えた。

 静寂。

 そして。

 巨大スクリーンに、一人の男が映る。

 真っ白なシェフ服。

 整いすぎた顔。

 高級感。

 完璧。

「……低俗だな」

 会場が凍る。

 司会者が震える。

「ま、まさか……」

 男は静かに告げた。

「私はS級料理界代表――

 神崎レオン」

 黄金の皿を掲げる。

「貴様ら“下等飯”を、この私が消してやる」

 観客がざわめく。

「S級だと……!?」

「上の世界の人間!!」

「終わった……!!」

 ポン太が笑う。

「面白ぇじゃん」

 フミヤが立つ。

「腹減ったしな」

 ハジメがマヨを握り潰す。

「――食わせろよ」

 こうして。

 D級。

 F級。

 H級。

 地下最悪の三人は、

 世界最高峰“S級”との戦いへ向かうことになる。

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